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ホーム > 第2回 『スキンケア』編
第1回第2回
科学者の気づきが新しい可能性を開いた 〜スキンケア最大のテーマ、エイジングケア〜

取材当日、イー・ウーマンがお会いしたのは、シャネル セル バイオロジー研究所のエグゼクティブ ディレクター、クリステル ラセール博士。2009年9月4日発売の、全く新しい概念に着目したエイジング ケア、『エクストレム コレクシオン ファーミング』を開発した担当者のひとりです。その製品開発の軌跡と効果などについて伺いました。

私が出会った『テンセグリティ』という建築概念

「ある日、以前読んだ、『肌の構造は建築の3D構造と同じである』という概念の論文を思い出したのです」とその時の様子を嬉しそうに語り始めるラセール博士。論文とは、2000年に発表されたハーバード大学の生物学者、ドナルド イングバー博士の理論で、「ひとつの細胞から人体に至るまで、あらゆる生命体が完全であるためには、その構造と生物学的機能の関係が重要である」というもの。

「テンション(引っ張る力)とインテグリティ(形をつくる力)によって成立する『テンセグリティ』という建築学の理論が、エイジング ケアとして肌にも応用できると悟ったのです。私は、イングバー博士の元へ飛んで行きました」


『テンセグリティ』の概念を表す模型 一つひとつの質問に丁寧に答える、
クリステル ラセール博士

ラセール博士など研究所の博士らには、当時、「肌にハリをもたらす最も素晴らしい製品を開発する」という使命が下されていたといいます。「それは研究者にとって、とても大きな挑戦でした。肌のハリを効果的にもたらすにはどうすればいいのか。私たちは、さまざまな文献を調べると同時に、多くの女性たちにインタビューを行いました。すると、そもそも肌の組織とその構造が乱れると、肌のハリが無くなるということがわかりました。そこで『テンセグリティ』という建築学の理論が、応用できると考えたのです」

クリステル ラセール博士は、経営学、ビジネス エンジニアリングの修士号も取得している生化学の博士。だからこそ、美容と建築の理論を結びつけた『テンセグリティ』の発想に価値を見出すことができたに違いありません。

彼女は、製薬グループに3年間勤務した後、2004年、アメリカのシャネル社に入社。ニュージャージー州、ピスカタウェイのセル バイオロジー研究所の設立に携わりました。CE.R.E.S.(セリエス:シャネルの皮膚および感覚調査研究センター)では、5年間にわたって生物学ユニットの創設・指揮を担当しています。


新しい成分『エレミ PFA』開発までの苦難。

「日々研究を重ねる中で、シャネルはすでに『テンシン』というひとつのタンパク質に着目していました。この『テンシン』こそが、『テンセグリティ』概念を支えるタンパク質、つまり肌のハリを保つための物質であると、やっとここで結びついたのです」

『テンシン』の生成を促進することで、肌は弾力とボリュームが出て美しい立体感が生まれることを解明したというラセール博士は、「ハリを作る道筋を発見できたのです」と、とても興奮して話します。

ハリのない肌(『テンシン』が失われ、張力を維持していない状態) ハリのある肌(『テンシン』により弾力を維持している状態)

しかし、実際の製品化への難題はまだありました。『テンシン』は、加齢とともに失われていくことがわかっていたからです。どのような成分が『テンシン』の生成に働くか。その成分をもつ植物などを特定し、成分を抽出、さらに効果を実証するという膨大な研究課題が残されていました。

「私たちは、試行錯誤を繰り返しました」と話すラセール博士。

「シャネルには、植物の効果を研究するための専門機関があるんです。この専門機関とともに、目的の植物を探し続けました。そしてついに、成長すると60メートルにまで達する素晴らしい生命力のマニラ原産の樹木エレミを見つけることができたのです。エレミの樹脂は再生作用をもち、現地の住民たちには古くから薬として使われていました」

そのエレミの成分の抽出には、シャネルが香水で培った特別な技術を用いて、高濃度なマニラ エレミの成分を手にすることができました。そうして新たに開発された成分が『エレミ PFA(保湿成分)』。

これは、シャネル独自の成分であり、今回の新しい製品、『エクストレム コレクシオン ファーミング』ライン開発への大きな前進でした。


60メートルにも成長するマニラ産の樹木エレミ エレミの樹脂は、古くから薬として使われてきた シャネル独自の分離・抽出プロセス:PFA(ポリフラクショニング)

ハリを実感できるリフティング ラインの誕生。

肌の代謝の周期は4週間。「私たちは、環境や年齢、肌質の異なる女性たちに、新しい製品の試用を依頼し、効果を確かめてきました。ハリを数値化するために、頬に強い空気を吹きつけて頬の窪みの数値を調べるという新たな実験では、4週間を経て頬の窪みの数値が減少しており、ハリの変化が数値で認識できました。また、顔の輪郭を映しだす『フェイススキャニング』の実験によって、多くの女性が輪郭が引き締まった変化も実感しています」

ラセール博士のひらめきから、建築概念と肌の生命構造が同じであるという先端理論『テンセグリティ』との出会い、化粧品として、ハリの重要な鍵となるタンパク質『テンシン』への初めてのアプローチ。そして約5年をかけての植物の特定。研究者の真剣な取り組みが、形になっていったのです。

「ハリや弾力が失われていく要因に的確に働きかける、マニラ エレミの精製された植物保湿成分『エレミ PFA』配合の製品ができたと確信しています。かつてないエイジング ケアです」とラセール博士は強い自信を覗かせます。

約5年の歳月をかけて開発した新製品は、『エクストレム コレクシオン ファーミング』と名づけられました。ハリ、弾力が失われた肌にアプローチすることでハリ、ボリュームを形作る新しいエイジング ケア。そこには、クオリティを追求し、独自の技術と発想で、さまざまな革新的なものを創りあげたマドモアゼル シャネルのこだわりが息づいています。


シャネル日本法人社長、リシャール コラス氏との対談はコチラ


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