生活にリズムとバランスを!(2003年11月6日)
出張勝也(でばり・かつや)
株式会社オデッセイ コミュニケーションズ代表取締役社長
『日経ベンチャー』の取材
10月の最終日でもあった金曜日、雑誌『日経ベンチャー』の取材を受けました。僕の会社のオフィスに関して話を聞きたいということで、オフィスのデザインを担当していただいたメックデザインのみなさんと一緒にお話しをさせていただきました。
うちの会社は、丸の内3丁目にあるビルに入っているのですが、ちょっと広めのスペースを地下フロアに借りています。取材は「なぜ地下にオフィスを?」という質問から始まりましたが、答えは一言、「お金がないから!」。けっして好んで地下フロアにしたわけではなく、丸の内にオフィスを借りようと思ったとき、無理なく借りられそうなスペースは、地下にしかなかったからです。
地下フロアにあるため、メックデザインさんには、とにかく明るい雰囲気にしてください、それから、まだ発展途上の会社なのであまりかっちりしたようなオフィスにはしないでくださいというほかには、特に大したリクエストをしなかったように記憶しています。結果的には、小社にお越しいただくお客さまにも、地下フロアということで想像していたような暗さはまったくなく、ほんわかとした雰囲気がある、オフィスらしくないオフィスだという好意的なコメントをいただいています。
ただ、問題がないわけではありません。まったく窓がありませんので、いったんオフィスに入ってしまうと、外の天候のことが全然わかりません。昼食をビルの外に食べに行かず、ずっと社内で仕事をしていて、夜になるまで一度も外の空気を吸わずに一日を終えることもあるくらいです。
パソコンに向かって、一日中、外に出ることもなくオフィスの中にいると、体にいいわけはありません。会社を始めてから顕著になったのが、運動不足と視力低下です。そんなこともあり、ここ数年、週末にはできるだけ運動をするようにしています。東京を離れて自然の中に入っていくことを体が欲していると、強く感じるこのごろです。
軽井沢野鳥の森へ
取材の方たちが置いていった『日経ベンチャー』の最新号には、軽井沢の星野リゾートの社長さんが紹介されていましたが、偶然にも、取材の翌日である11月最初の土曜日には、カイ(メスの甲斐犬)を連れて軽井沢に行くことになっていました。着いた日は、特に何をすることもなかったのですが、翌日には朝早く起きて、カイと一緒に、星野リゾートに隣接する「軽井沢野鳥の森」を散策をしました。そして、「これぞ体が欲していた時間!」というほど楽しむことができました。
11月最初の週末にもかかわらず、軽井沢は10月初旬のような気温で、とても穏やかな秋の日でした。おかしなことに、普段は家の周りの散歩をそれほど楽しんでいるとは思えないカイも、野鳥の森の中では本当に楽しそうに駆けていくのです。
カイは、もとはイノシシ狩りに使われていた犬で、都会に暮らすような犬ではないのです。野鳥の森を散策しながら、カイの中の自然が少しずつ目覚めていたのかもしれません。軽井沢に行っても特別なことをするわけではないのですが、カイと一緒に心地よい汗をかきながら自然の中を歩いていく時間が、僕にとっては一番ぜいたくな時間です。
生活にリズムとバランスを
今年一番のベストセラー『バカの壁』(新潮新書 ISBN:4106100037 価格:680円)を書いた養老孟司先生は、戦後の日本社会があまりにも「都市化」、「脳化」されすぎたことからさまざまな問題が発生していることを、『都市主義の限界』(中公叢書 ISBN:412003240X 価格:1,700円)など、いろいろな本で書かれています。
詳細はそちらをお読みになるとしても、東京に住み、どうしても仕事でパソコンやインターネットといった、まさに「脳化」の到着点そのもののような環境に身を置きながら働かざるをえない僕たちにとって、少しでも自然の中に入っていく(あるいは「還っていく」!)ことを通して、自然と都市の間を往復しながら、生活の中にリズムとバランスを作り出していくことがますます重要になると思っています。
野鳥の森をカイといっしょに散策する次の週末は、いつになるのやら?!