ゴールデンウイークを楽しめる幸せ (2004年5月13日)
出張勝也(でばり・かつや)
株式会社オデッセイ コミュニケーションズ代表取締役社長
みなさん、ゴールデンウイークはどのように過ごしましたか? 僕らがお休みを楽しんでいる時にも、イラクではイラク人とアメリカ人が銃弾や虐待に倒れていますし、イスラエルとパレスチナの間でも殺し合いが続いています。でも、僕らの足元でも、行き場のない人たちが結構います。僕の会社のオフィスがある丸の内のビル街や東京駅の地下でも、結構ホームレスの人たちを見かけます。あのホームレスの人たちは、ゴールデンウイーク中、普段と同じように、駅やビルの地下をさまよっていたのでしょうか?
丸の内にホームレスがいるなんて、以前なら、到底考えられないことでした。でも、本当にホームレスがいるのです。かつての西新宿のように、大規模でたむろしているのではないのですが、ビルの地下フロアのロビーに、ビル管理会社がテナントやお客さんのために置いてあるソファに、毎日何人かのホームレスや、行き場を失った失業者(のような中高年男性)が、何時間も座っているのです。失業者のように見受けられる中高年の男たちは、背広姿に、多量の新聞紙や雑誌が詰め込まれた手提げバッグを足元に置きながら、じっとソファに座っています。朝、地下フロアのトイレでは、体をふき、ひげをそっているホームレスと並んで、手を洗うことさえも珍しくはありません。
こんなことは、丸の内で働いていても知らない人たちが多いのかもしれません。でも、華やかな丸の内のビルの地下フロアに入って、じっと観察していると、このような風景に出くわすのです。
戦争の歴史。そして今の日本は……
休み中には、半藤一利著『昭和史 1926-1945』(平凡社)を読みました。このサイトの読者のみなさんも含めて、どのくらいの人たちが、日本がアメリカや中国と戦ってこてんぱんにやられ、300万人を超す日本人が亡くなったことを、覚えているのでしょうか? 半藤さんの本を読んでいると、日本を戦争に導いていったリーダーたち(政治家、軍人、官僚たち)の無責任さ、ずるさ、おごり高ぶりを見せつけられると同時に、彼らに荷担していったマスコミや、熱狂していく国民の愚かさにも、がくぜんとするものがあります。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」とよく言われるのですが、この本の最後に、半藤さんは、300万人以上が亡くなった昭和の敗戦から、以下のようなことを学ぶべきだとしています。
第一に、国民的熱狂をつくってはいけない。第二に、危機に際して日本人は、抽象的な観念論を好んで、具体的、理性的な方法論を検討しようとしない。第三に、日本型のタコツボ社会における小集団主義の弊害がある。第四に、日本は国際社会の常識をまったく理解していなかった。第五に、日本人には、何かことが起こった時に、対症療法的な、すぐに効果を求める短兵急な発想しかなかった。
これらは、けっして過去の日本のことではないですね。今でも、日本の社会は基本的には変わっていないように思うのは、僕の決めつけかな?
思い通りにいかないアメリカ
ところで、アメリカは、石油を確保するためにフセイン政権のイラクを占領したのに、結果的には、石油の値段は歴史的な高値(1バレルあたり40ドル)に達し、アメリカ国内でもガソリンの値上がりから、日本の代表的なハイブリッドカー「プリウス」の人気が高まっているとか(もともと、アメリカのガソリンの値段なんて、われわれからすればばかみたいに安いわけだから、アメリカ人も、少しはガソリンの値上げで苦労すればいいじゃないの、と言いたくなりますが)。世界の「ジャイアン」であるアメリカにしても、やはり思い通りにはいかないこともあるのですね。このごろは、イラクの捕虜をいかに残忍に扱っていたのかという話がどんどん暴かれていますが、これもイメージダウン、甚だしいことだし。
なんだかんだと書きましたが、僕はカイやクウたちと、のんびりゴールデンウイークを過ごしました。丸の内ではいかいしているホームレスのおじさんたち、イラクで疑問を持ちながら戦っているアメリカの兵士たち、悪化する経済状況、治安状況の中にいるイラクの人たち。それらすべての人たちと同じ時代に生きていながら、なんと幸せなことか!