株を買うと、株券は保振(ほふり:保管振替機構)に保管されます。貸株サービスは、保振に置いてある自分名義の株を証券会社に貸し、それを証券会社が貸株市場に貸し出します。次の日になると金利のついた株券が返ってきて、その中から証券会社は手数料を少しいただき、残りをお客さまに戻す。そういう流れの商品です。
貸株市場という取引所があるわけではなく、相対でプロの機関投資家が取引をしています。たとえばトヨタの株を50万株といったふうに、プロ同士が大口の株を貸し借りしているのです。株を貸してお金を借り、金利をつけて返すこともあり、取引する相手には信用力が必要です。誰でも簡単に参加できるわけではありません。
貸す側の多くは、生命保険会社、信託銀行といった株をたくさん保有している会社。一方、借りたい側は、空売りしている人。手元にない株券を売って値段が下がったところで買い戻せば利益が出ますよね。ところが、空売りしても決済がくれば株券を渡さないといけない。渡す株券がないので、貸株市場から借りてくるわけです。
金利は、銘柄ごとに需要と供給の関係で決まります。みんなが借りたい株式の場合は、当然金利が上がり、逆に人気のない株だと金利がゼロでも誰も借りません。
貸株市場に貸し出すときは、銘柄や日によって金利が異なります。従って、お客さまが証券会社にどの銘柄を貸すかによって本当は金利も違うはずですが、証券会社によっては金利を均等にならすことによって、基本的にはどの銘柄でも同率の金利としている場合があります。
貸株市場は毎日決済をします。株を貸したときには相手の会社から現金をもらいます。無担保で株だけを貸すようなことはしません。貸株市場の運用先の会社に万一何か起きても、ちゃんとその現金が担保になる。安心できるシステムです。