「大分県の明美さん」から、「義務教育費国庫負担を減らすことになぜ多くの自治体が賛成しているのか?」という質問をいただきました。前回に続いて、この問題にお答えしましょう。
前回は、「義務教育費国庫負担」削減論争を理解していただく前提として、「三位一体の改革」を説明しました。今回は、「三位一体の改革」を理解された方に、「義務教育費国庫負担」をめぐる論議を説明しましょう。
国と地方が半分ずつ
日本の義務教育は、国と地方が半分ずつ責任を持つ。これが「義務教育費国庫負担」の考え方です。
具体的には、全国の公立の小・中学校の教職員の給料の半分を国が負担する、というものです。今年度の給与総額は5兆円。このうち半分の2兆5000億円が国の負担です。2兆5000億円の内訳は、小学校が1兆6500億円、中学校が8500億円です(厳密に言えば、このほかに盲学校や聾(ろう)学校、養護学校が含まれますが、比率はわずかなので、ここでは触れません)。
この中学校の8500億円分を、国が負担することはやめてしまい、都道府県に8500億円分の税源を渡すというのが、小泉内閣の去年11月段階での考え方でした。
都道府県にすれば、8500億円が自由に使えるようになるわけですから、歓迎する都道府県が多かったのです。全国知事会は大賛成でした。
しかし、もし中学校の教職員の給与の分のお金を都道府県が自由に使えるようになると、……
|