5/12 
顧客第一主義の消費から地域で循環する消費へ
企業の広告などを見ると、どこもかしこも「顧客第一主義」「消費者第一主義」という言葉があふれている。しかし、今の「顧客」「消費者」と「企業」とのあり方は、本当に正しいのであろうか?
「消費者第一主義」とか「顧客第一主義」という時に、顧客がモノを買うことにしか関心を持たなければ、当然モノをつくるほうもそれだけにしか関心を持たなくなって、みんなものすごく断片的な感じになってくる。企業が顧客に関心を向けたのが80年代以降の日本のマーケティングでしたが、ちょっと行き過ぎて、主体性をなくしたんじゃないかな、と思う。それは消費者の側に緊張感をなくさせることにもなった。
たとえば、100円ショップが乱立して街の景観を壊してしまうことや、生産ラインが外国にいってしまうことは、企業が消費者のリクエストに無反省に応えたツケなのではないでしょうか? その結果、モノを作ったり、買ったり、使ったりというのが地域の中であまり循環しないわけです。それで、われわれの生活全般が成り立つかどうかということなんです。
町内で全部モノをつくって自給自足しろ、ということを言いたいわけではない。でも、全体の循環ができていなければと思う。このままだと景観のことを考える人もいなくなってしまう。中国の企業は日本の景観はどうでもいいでしょうから、そうなったら誰が調整するのか。それを調整する機関が何なのかもよくわからない状態になりつつあるわけです。
5/12 