■ 自分の論理ではなく相手の思考に合わせて伝える(本田章子さん)
「どんな戦略を立てて、ご自分のキャリアをつんできたのだろう?」「仕事をする上で何をどんな風に考えて戦略を立てるのだろう?」を聞きたい、が参加動機だったので、「転機はなりゆきで」「やりたいことをやる」「その仕事が面白いと思えるかどうかで決める」と、自分が考えていた論理&戦略思考とは対極的なお話に驚きました。しかし、会場からの質問に答えて具体的に例をあげ、話してくださった内容を聞いて納得しました。特に印象深かったことは、「伝えるときには、自分の論理ではなく相手の思考に合わせて伝える」ということです。人に伝える際、「理解してほしい」「上手に伝えたい」と思うときは、すべて自分の論理で考えています。しかし、相手には自分とは違う論理があり、思考パターンがあります。それを考えずにどんなに完璧な論理や戦略を考えたとしても、相手に伝わらなくては全く意味を成しません。頑張っているつもりなのに、なぜ、今まで上手くいかなかったのか、の答えが解かりました。また、客観性を重視した「好きなこと」と「得意なこと」が一致しないことがある、という考え方は、仕事を考えていく上でとても大事なことなので、今後活かしていきたいです。
■ 「論理&戦略思考」を改めて捉え直す(松岡美奈子さん)
正直、「論理的思考」を苦手にしている私にとって挑戦のつもりで参加した分科会です。ただ予想に反し「堅苦しい・理解しづらい」内容ではなく、ほっとしました。と同時に「論理&戦略思考」のベースには、個人の「好き、嫌い」「やりたい、やりたくない」という感覚があり重要視されていることを知り、それならば既知の感覚であり、身近に感じることができました。普段、自身が何気なく行っている「論理&戦略思考」を改めて捉え直すことで、それを強化することが可能だと思います。個人(一人称)の「好き、嫌い」という感情を、相手(二人称)あるいは集団(三人称)に共通言語とするためには、一人称の「論理&戦略」から二人称、三人称の「論理&戦略」に落とし込むことが必要で、それが私には欠けている点と知り、今後は意識して強化していきたいです。「戦略は未来のことである以上、直観がベース(一人称)。数字は説得するために必要。(二人称、三人称の共通言語化)」というファシリテーター・楠木さんの言葉が、それを裏付けてくれていて、印象に残っています。
■ 助言を大事にして、もう一頑張り(fuguさん)
社長となられる方は、もともと目標(例えば企業のトップになるぞ!)を、高く持って仕事を続けてこられたのかと思いましたが、小林さん、飯野さんのどちらもそうではなく、選択を要するときに、自分の基準や気持ちに従ってきて今がある、とのことでした。また、参加者から若い女性が管理職になりたがらないなどと質問があったときに、小林さ んから「上司は管理職として相応しい人しか任命しないから、自信を持って受けると良い」と答えられたのが印象に残っています。 現在、私は管理職ではないですが、年配の男性上司たちをマネージメントする必要がある仕事に携わっています。彼らから完全な無視などの抵抗を受け、面倒になり、放り出して会社を辞めようかとも思っていました。しかし、彼等の立場になって状況を考える、コミュニケーションを工夫するなどの努力をしていなかったと反省しました。「今、 やらなければならないことを、やれることからする」との助言を大事にして、もう一頑張りしようかと思いました。
■ 自分自身の中の判断基準を大切に(mi-maさん)
「無限にあったら戦略などいらない」「選択をする=戦略的な意思決定である」という冒頭に始まり、私は、まず、そのことに驚かされました。私は、当初「戦略的思考=いかに相手に自分の意見を伝えるか」ということを想像していました。しかし、それは意外な方向性へと導き出され、当初、想像していた以上に興味深いテーマとなりました。「なんとなくこのままでいいのかな」という思いから転職を決意された小林さんと飯野さんのおふたり。今や企業のTOPに立つおふたりですが、何も特別な思いや能力があってのことではなく、そんな組織のあり方などに疑問を抱いて、転職をされたと言います。組織の中で仕事をする以上、毎日、疑問に思うことは多々あります。今のところで辛抱するか、思い切って転職を試みるか。どちらかを選択しなければならなくなったとき、私も、おふたりのように、自分自身の中の判断基準を大切にし、思い悩んだことはいつか自分の糧となり力となり、必ず道は開けるということを信じて頑張っていきたいと思いました。そして、小林さんが最後におっしゃった「1度に1つのことしかできない。その中で何が良いのか悪いのかなんてやってみないと分からない」と私自身パワフルに言えるくらい積極果敢にまい進していきたいと思いました。
■ 「能力は戦略ではなく、何をやるかが戦略」(清水貴子さん)
参加する前はロジカルシンキングのようなことかと思いましたが、さまざまな局面においての目的を達成するための「選択」にテーマを絞ったことで、分科会はより具体的なものになったと思います。印象的だったことは「選択」時に何をやりたいかはわからなくても、何をやりたくないかはわかる、ということを聞いたとき、客観的に考えてそのような選択を無意識にしてきたのだと思いました。すごくシンプルにやりたくないことはしない、というのも選択のひとつなのですね。私自身、何度か転職をしており、何かをやり遂げ運用にのせて安泰かなと思っているタイミングで次のオファーがありお受けしてきたのですが、その都度、選択をしてきたことになります。戦略とまではいかないかもしれませんが、無意識にやりたくないことはしない選択をしてきたのだと改めて思いました。また、もうひとつシンプルなことで、「出来ること」「好きなこと」が同じ場合もありますが、違う場合も多くあり、しかしやっているうちに収束してくるのではないかというお話がありました。現在、チームのメンバーが将来の仕事のあり方を悩んでいるので、この例をもって何かアドバイスできればと思います。「能力は戦略ではなく、何をやるかが戦略」という言葉は強く心に残りました。
■ 相手の理論をよんで、相手の優先順位に合わせて話す(かぴぱらさん)
論理的に考えているつもりでも、なぜか相手に伝わらない、そんなジレンマを日々感じておりましたが、小林いずみさんの言葉でハッと目がさめました。「アメリカ人、日本人、それぞれに論理的思考がある。相手の論理をよんで、自分の理論で話してはだめ。同じメッセージでも相手の論理、優先順位にあわせて、優先順位、自分のメッセージを組み立て直している」これは国の違いだけでなく、業種、年齢、企業、の違いで相手の理論は全く違うということです。同じ日本人であれば、会社や年齢の違いが多 少あってもそんなに変わらないはずという思い込み、甘えが邪魔していることに気づかされました。「いくらなんでも○○はこうだろう、そうはいっても○○はこうなるはずだ」それは、こちらの理論であって、部長であろうが課長であろうがクライアント先であろうが、それぞれ理論が異なることを前提にしなければならないことに、気が付きました。なんて当たり前のことなんだろうとも思えますが、ビジネス書を読み漁ったところで、戦略的かつ論理的に相手に伝えられなければ、納得させられなければ意味がない、ビジネスとして成り立たないのですから当然です。身近な方への接し方から、相手の理論をよんで、相手の優先順位に合わせて話すという基本を意識して実践していきたいと思います。
■ これからの選択を大事に(弘津裕子さん)
正直なところ、分科会が終わった時点ではいったい何が戦略思考で何が論理だったのか全く理解できていませんでした。すとん、と腑に落ちたのはリポートを書くために当日のメモを見直してからでした。「戦略とは選択、目的を達成するためのチョイス」と、楠木さんの言葉をきちんと残しています。選択とは決定です。言葉を変えてみたら、たしかに、戦略思考でした。個人のキャリアの作り方はそれまでの選択の結果。その選択の基準について「やりたいか、やりたくないか」をポイントにして決めてきた、という飯野さんの基準も「戦略的に決めやすい」という楠木さんの指摘に「確かに、そうかも」と思えてきました。好きなことを探すよりもやりたくないことの方が、確かにわかりやすいようです。振り返って、これまでの自分の選択の結果はどうだったか、得意なことも、不得意なことも経験した上で、やはりやりたくないことは避けるようにしてきました。残念なことに、それが戦略として正しい方向かどうかはいまだに結論が出ていません。小林さんの迷ったときの最後の基準という「やったことを繰り返してください、ということだけは経験の切り売りだからやりたくない」という視点はとても印象的でした。そこまでは言えなくても、これからの選択を大事にしていくつもりです。
■ 相手の価値観を尊重して理解する(hanakokさん)
飯野さんと小林さんは、いつでも「自分の中の基準」「得意なこと」「やりたいこと」を大切にして選択してきた結果、経営者になったというインタビューの展開でしたが、個人的には、もう少し選択の詳細や戦略、そして半端ではなかったと思われる努力について伺いたかったです。 「すべては選択の結果である」ということで、私自身のままならなかった時期にいったいどんな選択肢あったのだろうと思い、質問させていただいたのですが「過去のもしもをいくら考えても仕方がない」という内容の楠木さんのお答えで、ちょっと消化不良でした。ただ、今後はさらに自分の中の基準をつきつめて、選択するときに迷いのないようにしたいと思いました。 「人を説得したいときにはどうすればいいのか」という質疑応答では、説得する相手と時間を共有することの重要性や、相手の立場・価値観にあわせて、自分の言いたいことを言うといった手段が有効というお話が非常に印象的で、これからすぐに応用できると思いました。「相手の価値観を尊重して理解する」というダイバーシティのスキルは、目的に向かってビジネスをスムーズに進める上でも本当に必要なんだと感じました。
■ 日常的に戦略思考をつけることが成長につながる(武士道さん)
論理的、戦略的思考は仕事の基礎であると思い、参加しました。成長のための選択、自己との建設的なコミュニケーションを繰り返された小林いずみさん、飯野直子さんのキャリア形成には、1つの共通点があることに気付きました。それを楠木准教授がみごとな仮説を立ててあぶり出される論理的な進行方法に、感銘を受けました。「主体的な基準を持つこと」こそが戦略思考の本質であり、私のこれまでの意思決定を振り返ると、30歳をすぎてやっと基準が確立してきたと感じます。この分科会で得たヒントは「主体的な基準を常に意識すること」です。ビジネス会議の翌日、国立博物館に行ってきたのですが、オーディオガイドを利用すると受身になりがちなので、観覧しているさまざまな人の声を意識的に聞いて、自分の感想との違いを認識してみたり、解説を読まずに、どんな背景で描かれたのか想像してみたり、楽しみ方を自分流にしました。日常的に戦略思考(=自分基準を持つクセ)をつけることが成長につながるのだと思います。
■ 戦略(選択)により、より充実したキャリアを(mattun-junさん)
「戦略」=「選択」というキーワードが印象的でした。そのように考えたことがなかったので、納得したとともに新鮮に感じました。3名の方が、それぞれのキャリアの中で、さまざまな戦略を立ててきたこと、そして、ビジネスの道を築いていくための選択や気づきなどが、印象に残りました。中でも、私自身は小林さんの「自分の過去を切売りして、同じことを仕事にしない」という姿勢に感銘を受けました。常に「新しい仕事から何かを得られるか」「上司になる人からは、何を学べるか」という考えからの論理的な戦略(選択)に、納得しました。キャリアの方向転換も日々考えていた私にとっては、小林さんの「経験が生き、今まで経験がないことをしたい」という言葉や、飯野さんの「自分の存在がわからないことをしない」という言葉には、考えさせられました。これから私は、自分の「出来ること」「好きなこと」「やりたくないこと」の戦略(選択)をしていき、より充実したキャリアを築いていきたいです。
|