「悪役」藤井道路公団総裁の功績(2003年10月18日)
業種や背景を十分考慮する必要がある
聴聞が発端となり、族議員のみならず官僚も絡んでいたらしい種々の背後関係に「タイムトリップ」するのは気が重いけれど、悪いことではないかもしれませんね。
たしかに民営化すればいいってものでもないですし、国鉄の膨大な負債がほとんど国民の税金で補われ、今も清算事業団に受け継がれながら、一方では世界的な民営化成功例であるかのように言われているのを見聞きすると、まさに世の中グレーゾーンだと感じますね。民営化で新たに誕生した企業の努力により業績を上げている場合もあるので、やはり民営化にはそれぞれの業種や背景を十分考慮する必要があるのかな、と思いました。(福田愛)
巨額な無駄をなくす構造を
外資系企業の広報をしていますので、いろいろなジャーナリストの方にお会いします。しかし藤田さんほど考え方の嫌いな人はめずらしいです。あまりに嫌いで、いつも読んでは怒っています。
藤井さんが善玉か悪玉か、石原大臣が記者時代に無能だったか有能だったかはどうでもよいことです。今の日本が早急にしなくてはならないことは、利権を貪る議員・官僚の懐に入る巨額な無駄をなくす構造を作ることで、政府を小さくして、できることは民間に任せて効率化を図ることではないでしょうか?
利権を貪る人たちは徒党を組んで抵抗しますから、それを多少粗雑だろうが力で押さえ込み、あるべき方向へもっていくべきだと思います。扇さんは藤井さんが怖くてできなかっただけです。石原さんはパパが偉いし、怖いものなしだから解任できる無謀な強さがあるのです。でも、そんな直情径行な改革マインドと実行力は十分評価されるべきで、もっとやれやれ、旧態依然とした日本を私物化して駄目にするようなやつらはドンドン切り捨てろ!と思います。(ミツチ)
世の中の変化の兆しを見ることができた
悪役でもいいではないですか。公僕たるもの大局を見て、世の中のために自分を犠牲にする高い心ざしが必要だと思います。何10年先に皆がその人の名前を忘れてしまっても、行いが正しければ何かの役に立ち、そして名もなき礎になって歴史は進んでいくんです。
自分に間違いがないというなら、それを目標に後に続く人が必ずいるはずです。目の前の子どもを相手にしていないで、すっぱりと辞任すべきです。こんなことを政治的なものに利用できるほど、国民はばかではないはずです(と、祈っています)。
今日本は、大きなゆっくりとした革命の中にいると思います。一日で起こる革命は、その反動で社会が落ち着くまでに20年、30年を費やすでしょう。でも、20年30年かけてゆっくり起こる革命も、結果的には同じ効果があると思うのです。藤井総裁が暴れてくれたおかげで、世の中が確実に変化しているという兆しを見ることができたことは、よかったと思います。(Pururu)
改革しようという意識と能力がなければ
藤井道路公団総裁が解任されるのは当然だと思います。しかし、その過程の政治的な不自然さや、混乱に対し、小泉政権には思い上がるなと言いたいです。国民の道路公団への怒りを、政権の人気取りや衆議院議員選挙に利用しようという下心がありありで、本当に理念があって行動しているのか疑問に思っています。人の首を切るのが簡単だと思ったらとんでもないことです。最初から解任するという前提で、もっと慎重に行動すべきだったと思います。
だいたい、道路公団を民営化しさえすれば、あの莫大(ばくだい)な負債が帳消しにでもなるかのような論理は幻想に過ぎないのに、あたかもそれが正義であるかのような政治家やマスコミの論調は許せません。国鉄をJRに民営化したときのような詭弁を思い出させます。
結局、旧国鉄が抱えた莫大(ばくだい)な、負債は国鉄清算事業団に押しつけられ、最終的には国民の税金で負債を返すことになってしまったのではなかったでしょうか? そして現在のJRは、事故が多く、危機管理能力のない状態です。民営化しようが、公団であろうが、改革しようという意識と能力がなければ変わりません。(omame)
よりよい日本を考える始まり
いつもコラムを拝見しています。あえて賛否両論の議論が発展するような書き方というか、いろんな見方、考え方がある中で、ある一つの立場を選択して書かれているので、藤田さんの問題提起によって「そのとおり」と思う時も「そんな考え方もあるのか」と思う時もありますが、時事ニュースに関心を持てるようになりました。
二週間前のコラム『「言葉」を取り戻そうとする政治家たち』の時に思ったのですが、議論の前に言葉ありきで、とにかく何らかの発言や意思表明をしてから議論を重ねていかなくてはいけないのに、わたしたち日本人は(とくくっていいと思うのですが)、最初の発言で白黒をはっきりつけてしまい、一刀両断にしてしまう傾向にあると思います。
小泉さん、安部さんの言葉は、今までの政治家に比べて普通の言葉で話しているところが好感を得ているのだと思いますが、ようやくスタートラインに立ったというところでしょうか。
特に小泉さんの発言は聞こえがいい発言が多く、実際の行動はあいまいな部分もありますので、発言を踏まえてしっかり注目し、行動をチェックしていかなくてはいけないと思います。特に消費税増税などの鋭い痛みは与えず、社会保障などの別の部分の鈍い痛みでごまかそうとする点や落とし所をさぐりつつ行動する(「のりしろの多い」と日経新聞に書かれていました)点など気になりますが、だからといって「やはり小泉さんは……」と切り捨てるのではなく、そこからがよりよい日本を考える始まりだと思います。
さて、今回のコラムの藤井総裁ですが、藤田さんも書かれていたように、守旧派はすべて悪、改革派はすべて善ではないことに一石を投じたという意味では、無駄な行動ではなかったのかもしれません。有終の美という旧来からの美徳も払いのけ、退職金ももらわず……という格好の悪さによって、逆に同情を引こうとしているのでしょう。
個人的には、今までの報道からしか判断できませんが、藤井総裁は限りなく色の濃いグレーゾーンにいるという印象を受けます。退職金をもらわなくてもかまわないくらい、今まで甘い汁を吸っていたのだろうなあと。幻の財務諸表に関して後ろめたいことがないのであれば、なぜ担当者を左遷させたのかと。扇前大臣の過度の擁護も、不信感が募るだけでした。
たしかに石原大臣も政治的に利用している印象は否めません。後任問題も難航するでしょう。でも、新しく生まれ変わり、活力ある日本が望まれている今、粗雑であっても、そのエネルギーを応援したいと思います。
日本の政治は、政治家がいわゆる「政局」に夢中になっているだけで実務面に取り組むことが少なく、官僚が力を持ちすぎていると思います。小泉さんが補正予算は組まない方針を掲げたら、財務省は仕事が減り、暇な時間ができてしまうということで、それを避けるために今から仕事を間延びさせているようです。
某省付属の研究所に出向している知り合いから聞いた話ですが、財務省への予算の説明の日程を延ばし延ばしにされているのは、そのためではないかとのこと。それによってほかの省へ負担が大きくなってもお構いなしなんですね。いつまでも振り回されているのを見るにつけ、官僚なんてこんなもの……としみじみ思います。
思うところをつらつらと述べてしまって、お恥ずかしい限りですが、コラムを愛読している点だけでもお伝えできれば幸いです。今後のご活躍をお祈りして終わらせていただきます。(四葉のクローバー)
一介のサラリーマンにはできない行動
上司から紙切れ一枚の人事異動通知をもらっても、有無が言えないのがサラリーマン。制度的には不服申し立てはあるけれど、よほど明らかな事実がない限り行使できない。弁護士を4人も付けるなど、とてもとても。
サラリーマンの人事異動も、藤井総裁のようにできたらいいですね。どんなにか悔しい異動があることか? 左遷、不名誉な異動、二度と回復のない異動。出向、派遣、早期退職。「何でおれがこんな移動に甘んじなければならないのだ」と何回思うことか。藤井総裁のあの行動はサラリーマンの鏡か? あのような行動を世間は許すのでしょうか? 自分の部下を降格左遷させたことはどうなるの、藤井さん。(ライラック)