「日経平均株価」のナゾ このところ、日本の株式市場は大にぎわい。かつてのバブル時代を思わせる活況ぶりです。日経平均株価も、ついに1万4000円台にのりました。 でも、疑問に思ったことはありませんか? 「平均株価が1万4000円になったというけれど、個別の株価を見ると、たとえば新日鉄は400円そこそこだし、東芝は600円台。どうして平均が1万円以上になるの?」と。 そうですか、考えたことがありませんか。私の発想は、子どもっぽいのかな。 1万円を超えるような株価は、実はそれほどありません。それなのに、平均の数字になると、1万円をはるかに超える。これが、「日経平均株価」のマジックなのです。 日経平均株価は、日本経済新聞社が計算して発表している数字です。では、どんな計算をしているのでしょうか。今週は、このナゾに迫ります。そんなにナゾでもないか。 最初は227社から始まった 日経平均株価は、東京証券取引所一部上場企業225社の株価を合計して平均したものです。そこで海外では、「NIKKEI225」と表現されます。でも、単純な平均ではないのです。 日経平均株価の計算が始まったのは、1949(昭和24)年でした。このときはアメリカのダウ・ジョーンズ社が計算していたので、「ダウ平均」と呼ばれていました。この名前、聞いたことがありますよね。そうです。いまでもアメリカの平均株価では、この呼び名が使われています。アメリカの主要株価の平均価格は、いまもダウ・ジョーンズ社が計算しているからです。 その後、日本の株価に関しては、計算の手法を日本経済新聞社が引き継いだので、現在は「日経平均」と呼ばれます。 最初に計算が始まったときは227社が対象でした。なぜ227社という中途半端な数なのか。このとき……
池上彰の 『解決!ニュースのギモン』