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服にはすべて理由がある ―長く着られる服作り
不況の影響でアパレル業界は下火傾向にある。井崎さんはどんなふうに感じているのだろう。
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「点字は単なるデザインということだけじゃなく、目の見えない方が、クローゼット のなかでどれがどの色か判別できるように。また入れることで服の前後もまちがえなくなりますよね」 |
服飾について研究すべきことはたくさんあるはずなんです。パターン、生地もそうだけど、大切なのは着る人たちの生活環境や体の動き。そういうところを省略して大量生産で安く作ると、ちょっとひっぱるだけで破れてしまうような服ばかりになってしまいます。私は、自分が作った服は長く着てもらいたい。安易に服を捨ててほしくない。
うちの洋服は1着2〜3万円で、けっして安くはありません。ただ、すべてのデザインに理由があって、どの服も「こういう機能があるから、こう着やすい」という説明ができる。ダーツや脇線をずらしたり、点字を入れたり。機能からデザインを考えています。
学校に行っていた当時は、「ユニバーサル・デザイン」って言葉すらありませんでしたからね。ただ私としては、入学してからこれまで7年の間に、「こういうものがあってもいいんじゃないか」って思い続けてきたし、一人のデザイナーとして、いつかパリコレに出たいという夢もあります。パリコレにユニバーサル・デザインのような分野の服が登場することだってあるかもしれません。
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