外来語を安易に使っていませんか?(2003年2月6日)
出張勝也(でばり・かつや)
株式会社オデッセイ コミュニケーションズ代表取締役社長
石原東京都知事や田中長野県知事は、話の中で、外来語をよく使う政治家です。テレビなどで彼らの発言を聞いていると、外来語のスカッドミサイルが、どんどん発射されます。かく言う僕も、話の中で外来語をよく使うほうかもしれません。それなりに英語を使うこともあり、外国語(ただし、ほとんどが英語ですが)が話の中によく出てきます。
そんな僕なのですが、日本語の中に、今のようにどんどん外来語が入ってくることに関して、少々懸念を持っています。その理由をいくつか挙げてみます。
- 言葉の意味を考えない癖がどんどん拡がっていること。つまり、ある外来語の背景や意味などを十分にそしゃくしないまま、使っていることが非常に多い。スピードを重視するあまりか、言葉の本当の意味を考えるということがますます少なくなっています。
- 外来語が、責任回避や、態度を明確にしないための隠れみの、あるいは目隠しのために使われること。
たとえば、「コミット」という言葉。政治家や役人の使う「コミット」ほど、commitという言葉からほど遠い「コミット」はないのではないでしょうか?
- 一部の外来語を、本当の英語と勘違いしている。外来語として日本語の中で使われている英語の多くが、和製の英語です。実は日本人が造った英語がちまたに溢れ返っているのです(例:ノンステップバス)。
- 日本語においても、外国語を使う際にも、コミュニケーションを誤らせる原因の一つになっている。外来語に関しては、個々人によって意味の取り方が違っていたりします。また、日本語である外来語が頭に残っていて、外国語を使う際に、間違って使うこともあります。
ところで、昨年末に国立国語研究所の「外来語委員会」から、外来語の使用に関する中間報告が発表されました(正式名称は、「分かりにくい外来語を分かりやすくするための言葉遣いの工夫についての提案」)。
この中間発表は、外来語に関して、「日本になかった事物や思考を表現し、日本語を豊かにする」と、外来語を前向きに評価した上で、外来語の使用に関して、「緩やかな目安、よりどころを具体的に提案する」としています。63の外来語を取り上げ、それぞれに関して、「意味」、「言い換え語例」、「説明付与例」、「用例」、「注記」が付けられています。読みやすい内容ですので、国語研究所のホームページで全体をお読みになって、日ごろお使いになられている外来語に関して考えてみることをお勧めします。