初めての海外出張(2003年4月3日)
出張勝也(でばり・かつや)
株式会社オデッセイ コミュニケーションズ代表取締役社長
3月3日から9日まで、アメリカの取引先を訪問してきました。
アメリカとイラクとの戦争が間近に迫っているため、フライトが大好きな僕も、少々ビクつきながら搭乗しました。今回は、二人の社員を連れていったのですが、そのうちの一人のY君(27歳)は、この1年ほど、小社で行っている「DIRECT ENGLISH」に熱心に通って、英語を一生懸命勉強してきました。これまでのトレーニング成果を試してもらおうと思い、一緒に来てもらいました。Y君にとっては、海外に出るのは今回が2回目だそうで、同年齢の平均的な日本人と比べると、どちらかと言えば、海外経験は少ないほうかもしれません。
思い返せば、僕自身が初めて海外出張に行かせてもらったのは、大学に在籍したまま働き始めた外資系会社の、全オフィスのプロフェッショナルスタッフを対象とした全体会議に参加するためでした。1983年のことだったと記憶しています(当時23歳)。その2年後に、幸運にも入学を許されることになるハーバード・ビジネス・スクールがある、アメリカのボストンが訪問先でした。
その時一緒だったのが、今も付き合いのあるM君です。彼にとって初めての海外旅行がその出張で、その時点では、英語でのコミュニケーションはまったくできない状況でした。特に、聞く、話すに関しては、まったく「ヘレン・ケラー」的な状況でした。そのころ、アメリカ本社から来た社員の人たちからアシスタントとして重宝がられていた僕や、帰国子女で「ペラペラ」に英語のできるN子さんの存在は、エリート高校から東大法学部に入ったM君にとっては、大変ショックだったようです。その後10年ほどたって、海外での勤務や留学を経て、ある意味では僕以上に英語ができるようになったころ、「あのころは、おまえみたいに英語ができる人間は初めてだったので、おまえが天才に見えたよ」と懐かしむように言われました(今はメッキがはがれて凡才にしか見えない、と暗に言いたそうです!)。
もともと僕などよりもずっと優秀なM君でしたが、英語ができないことが一つの原因となって、結局最初に入った会社では1年程度しか続きませんでした。ところが大変幸運なことに、M君は、次に入った米系の銀行で、2年間の本店研修の機会を与えられました。さらにその後、ロンドン・ビジネス・スクールでも2年間英語力を磨き、アメリカだけでなく、イギリスでのビジネスを体験することができました。お互いに30歳を過ぎたころには、アメリカ中心の経験しかしていない僕よりも、ずっと幅広い経験を、M君は積んでいたのではないかと思います。
さて、小社のY君に話は返りますが、今回の海外出張の成果として、「自分の英語力がまったく不十分だということがよくわかりました」と、帰国の翌日には「DIRECT ENGLISH」に顔を出していたようです。Y君、外国語なんて、一朝一夕には身に付かないのだから、あきらめないで、「DIRECT ENGLISH」で、毎日少しずつ前に進んでいってください。次回の出張の際には、もう少し手応えを感じられるように。