特別講演「脳科学からみた、人間の無限の可能性」
（茂木健一郎さん）

茂木健一郎さん ソニーコンピュータサイエンス研究所 シニアリサーチャー／脳科学者 脳科学者として、テレビや講演などご活躍中の茂木さん。女子大でも講義をすることがあるそうですが、壇上からの最初の一言は、「パワーに圧倒されます」――1,200名の95％以上が女性という参加者を前に、少し緊張気味の様子。「この会場は、パワースポットになっていますね」と、これまでに経験したことのない圧倒的な力を会場の参加者から感じられたようです。

茂木さんはご自身の専門分野から、脳には限界がないというテーマのもと、「人間としていかに生きるか」「女性としていかに働くか」という2つのことについて話を展開してくださいました。

「脳には終わりがないんです」――この力強い言葉に、会場がぐっと身を乗り出します。脳の神経細胞は心臓と同じように24時間、休まず働いているので、1,000年生きれば1,000年の脳になるそうです。ただ、私たちは1,000歳になる前に死んでしまっているだけ。脳は働くと神経細胞がつなぎ変わるので、5年後、10年後は予想できないそうです。この「予想できない不確実な人生」の例えとして、茂木さんご自身が、理学部から法学部に「まさか！」の進路変更をした話をしてくださいました。やってみると予想外におもしろく感じたそうです。

ここで一つの疑問がわきます。脳は変わり続けるのに、時に私たちは変わることは難しい、と感じてしまうのはなぜでしょうか？　実は、脳が変わるには感情が大切だそうです。では、どんな感情になれば変われるのでしょうか。――ここで茂木さんは、群れのなかから最初に海に飛び込む勇気のある「1stペンギン」を例に、困難を乗り越え、より良く生きる秘訣をお話ししてくれました。

また、女性としていかに働くかについては、男と女の脳の違いについて触れながら、性別によってできることが違うと科学的に証明されたものは1つもない、と明言。「差」はあっても、そこに「優劣」はない、と。脳の働きはとても複雑で、単純なモノサシでははかれない。だから、1つの基準で優劣を測るのは愚かなことだと。

「スタンダードから少し違うけど、ほぼ同じだからいいじゃないですか」と言って違いをなきものにするのではなく、「みんな違ってみんないい」をどれだけ信じられるかだ、と熱く語ってくださいました。そして、何かにチャレンジするために必要なものは、「安全基地」だとも。安全基地とは……これは会場にいらした方だけの特別なメッセージにしておくとしましょう。「アハ体験」がいっぱい詰まった特別講演でした。

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