基調講演「プロフェッショナルとして自分価値を高める」
（進藤奈邦子さん　世界保健機関（WHO）メディカルオフィサー ）

進藤奈邦子さん 世界保健機関（WHO）メディカルオフィサー 進藤奈邦子さんは、世界保健機関（WHO）メディカルオフィサーとして、鳥インフルエンザなど感染症の最前線でウィルスと闘っており、『Nwesweek日本版』（2006年6月28日号）の「世界が認めた日本人女性100人」に選ばれた1人。 にもかかわらず進藤さんは、「（国際女性ビジネス会議が10年の経験を経て）新たにスタートを切った第2ステージの最初の回に、なぜ私を選んでくださったのか？」という、とても謙虚な言葉で講演をスタート。なぜかというと、バックグラウンドが医師である進藤さんは、アカデミアの中で最前線を走れなかった挫折を抱え、どうしたらやりたいことを続けていけるのか、やりたい気持を世の中の役に立たせるためにはどうすればいいのかわからなかったからだそうです。ご自身のことを、挫折度NO.1の人間だとおっしゃる進藤さんが、変わるきっかけはなんだったのでしょうか？

進藤さんは、会場の隅から隅まで丁寧に目をやり、まっすぐ見つめ、おっしゃいました――「ここにいるのは、ほんの一部。この何十倍も何千倍も仲間はいるかもしれない。ネットワーキングができていないだけ。決して一人ではない。今日は私がこれまでにどう転んで、どう起き上がったのかを共有したいと思います」。

仕事と家庭の両立……これを進藤さんは、別々のものを別々に立てているわけではなく、大切なのはインテグレーションだとおっしゃいます。両方ともハッピーな自分でいることが大切だ、と。このことに気づいたのは、産休のときに母乳で子育てをすることに至上の喜びを感じ、産休明けに仕事に戻るかどうかを迷っていたときだそうです。母から渡された新聞に「佐々木かをりの『妊婦だって働くよ』」というセミナーが載っていたので、興味を持って参加。仕事と子育てに迷っていた胸の内を佐々木氏に打ち明けたら、返ってきたのはこんな言葉だったそうです。

――「あなた、子どもに向かって“あなたのために仕事を辞めたのよ”と言わない自信ある？」。このとき、進藤さんは言葉だけでなく、ネットワークも紹介してもらったそうです。進藤さんが変われたのは、「自分らしく生きる女性たち」との出会いや、女性のネットワーキングがきっかけだったとのこと。

ネットワークをつくる大切さを、ご自身の経験をもとに具体的にお話ししてくださった進藤さんは、最後に、参加者に「自分価値を高める」ために、今すぐできる5つのティップスをくださいました。紙の上をペンが滑る静かな音が、講演中ずっと途切れることのなかった進藤さんの前には、講演後も、夜のネットワーキングパーティのときもずっと、名刺交換をしたいという女性たちが（もちろん男性も、性別問わず）、途切れることがありませんでした。

【関連リンク】 「進藤奈邦子さんとのwin-win対談」