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「企業の新マーケティング」
(山口栄一/真壁希生/野上麻理/井上英明)
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マスメディアでの広告だけが企業のマーケティングではなくなりました。企業はスマートコンシューマたちと、どのように対話をし、自社のサービスや商品を伝えているのでしょうか。また、それによって組織はどのように変化してきているのでしょうか。日本航空から国際営業部長・山口さん、住友スリーエムからコンシューマー事業部マーケティング部部長の真壁さん、P&Gからスキンケアマーケティングディレクターの野上さん、そして、青山フラワーマーケットのパークコーポレーションからは代表取締役・井上さん。会場のは、マーケティングの最前線の事例を知りたい・学びたい、という意欲と活気にあふれていました。 |
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真壁希生さん
住友スリーエム コンシューマー事業部 マーケティング部部長 |
住友スリーエムで大衆消費財、家庭用品のマーケティングをされている真壁さんは、マス広告の目的として、「売上げにつなげる」ことと「ブランド戦略」をあげました。しかし、テレビマスのコストパフォーマンスを考えると、取り扱っている商品が目的買いをされるものではないので、マスのメディアを使っても、買うことに直接は繋がらないことが多いとおっしゃいます。
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「大切なのは、お客様の根底にあるソリューションとはなにかを見つけること」とのこと。そのために、店頭でのお客様とのコミュニケーションを工夫して、定量的な調査では見つけることができない、小さな最大公約数を見つけ出し、そこから広げていくそうです。「ブランド構築は、商品自身が商品の価値や自信についてメッセージを持って語ってくれればできると思います。この連鎖を作るのが、ミッションです」。 |
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野上麻理さん
P&G スキンケア マーケティングディレクター |
P&Gの野上さんは、5年ほど前から、マスの手法に対する危機感が出てきている、とおっしゃいます。「米国ではコマーシャルへの関心が下がってきています。1997年の調査では、テレビをかけがえのないメディアだと考えている人が50%だったのに、2003年では24%に大きく減りました。メディアの環境の変化とともに、会社も変わらなくてはなりません。リーチから、質への重視へ変化してきています」。情報が複雑化しているなかでは、テレビが直接購入へつながることはなく、その間に多数の要因が入ってきているため、その要因に一本串を通し、統一感をもたせたマーケティングが必要だとおっしゃいます。
「従来の定量的な考え方では、顧客の購買行動を分析できないことが多い。顧客がなぜ買ったのかを聞いても無意識でわからないので、定性的状態を観察する必要があります」とのこと。しかし、定性になればなるほど意思決定が難しくなっていることについても述べられ、お客様をいつの瞬間も一人の人間として、いろいろな角度から見ることの大切さをお話しくださいました。 |
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青山フラワーマーケットの井上さんは、ご自身がいいと思うことだったら、他の人もいいと思うのではないか、という感覚を大切にしていらっしゃるそうです。そんな井上さんの、仕事に込めた想いとは?――「人のなかには直線がないように、グリーンにも直線はありません。自然な曲線がない現代社会には、グリーンが必要」井上さんは、アーバンジャングルを作ろうと思ったそうです。「自分がうれしい店は何か」を日々考えていらっしゃるとのこと。
「花とは何なのか、と考えたとき、お客様が花を買うのは、物ではなく『空間』『時間』を買うことに気づきます。花の姿、ラッピングペーパー、持って帰る自分の姿など、トータルに考えます」「意思決定については、仕入れも店頭のスタッフが決定しています。同じ店舗は作りません。その土地のお客様の層によって、ほしい商品がまったく違うので、現場が発注する権限を持ち、人の採用も店長がしています」お客様の気持ちと現場の感覚を大切にするところに、成功の秘訣があるようです。 |
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山口栄一さん
日本航空インターナショナル 国際営業部長 |
日本航空の山口さんは、地震やテロ、原油の高騰などの不可抗力が大きいなか、観光マーケットをどのように紹介していくか、団塊世代をどう取り込んでいくか、20代の海外旅行者をどう伸ばすか……といった課題について述べてくださいました。その一つとして、近年増加しているFIT(Foreign Independent Tour)・自由旅行の工夫として、「例えば、旅行の目的を作ってさしあげます。ホノルルマラソン、フラダンス、フットサル大会ツアー、自転車ツアーなど、きっかけづくりの提案をしています」とのこと。社会醸成や経済状況につれて変化するお客様のニーズに合わせ、柔軟に対応していらっしゃる様子が伺えました。 |
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会場からのは、「Webでお店の雰囲気を伝えるために、どんな工夫をしていますか」「情報があふれているなかで、アイデアをどのように収集し、いかに実現に結びつけたのですか」など、気になる質問があがりました。 |
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【関連リンク】
「井上英明さんとのwin-win対談」
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