「分科会の最初に質問を受け付ける形で始まったので、そのときに「環境に対して意識の低い人、低い国に対してどのように伝えればいいのでしょうか?」と質問させていただきました。私は社会のメインストリーマーが貧困層となりつつある危機を感じています。枝廣さんのように長期的な時間軸で物を考えることができない人が、それも若い人たちの中にその数が増えつつあることを感じるからです。
日本は、石倉さんのおっしゃるように環境を変える技術的なイノベーションは大変得意であり世界中に貢献できるし、また筑紫さんがお話になったエコファンドに投資する個人の環境問題への意識の高さもあります。また、枝廣さんは、『環境に悪影響を与える商品にたいするボイコットもあまりないのに企業の環境問題への取り組みの姿勢も一般にはあまり伝わっていない』ともおっしゃっていました。一部の意識の高さと社会全体の環境への問題意識のギャップが、既得権益のある人による社会のイノベーションの妨害だとしたら、それはやはり若い人たちに力を持ってほしい、変えてほしいと思います。
最後のほうで会場からの質問の中に、「100年後の地球のために子どもたちにどう伝えるのか?」というものがありました。 石倉さんの『自分が率先してやることが基本です。Do as I do です』。枝廣さんは『伝え方によっては希望より絶望を教えてしまう。今子ども達の間で静かに絶望が広がっています。でも、環境は変えることができることを子ども達に伝えたい』と。
ネガティブな思いで聞き始めた分科会でしたが、終わるころにはいくら絶望的なことが広がっていても自分よりも若い世代には希望を伝えよう、と意識が変わった分科会でした。」(弘津裕子さん)