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プレーンなトマトソースがうまくつくれない! というお問い合わせをたくさん頂きます。上手に作れない最大の原因はトマトの違いという事をご存知でしょうか? トマトには大きく分けて2種類が存在します。ピンク系とレッド系です。世界的には断然レッド系優勢で約7割を占めています。日本では逆にピンク系が7割です。ピンク系が最初に入って来た関係からか、レッド系に比べ青臭さが少なく、皮も柔らかいピンク系が生食を好む日本人に好まれたからかも知れません。デパートの地下の野菜売り場などで本当にたくさんのトマトを目にするようになりました。ピンク系の代表的な品種は、桃太郎、ファースト、フルーツトマトなど。レッド系は、日本では主にケチャップやジュースの原料用に生産されています。食卓ではミニトマト(飛行機の機内食用に開発されました)、ミディトマトが身近です。調理用、加熱用と表示されているトマト※※。細長い形のサンマルツァーノ※、葡萄のように房のままのポモドリーノなどがレッド系トマトです。レッド系は総じて取り扱いが少ないのが現実です。レッド系はピンク系に比べ赤み※※※が強く、グルタミン酸などの旨味成分も豊富であるという特徴があります。そんな訳で、ピンク系のトマトでトマトソースを作ってしまうと、水っぽくなってしまい、どんなに腕が良いコックさんでも無理、と言う訳です。
パスタの茹でかたと塩加減のポイントを一つ。そばやうどんを茹でる時のようにパスタを茹でていませんか? そばやうどんには塩が入っていますが、パスタには塩味がついていません。だから海水程度の塩加減のお湯でパスタを茹でます。だいたい4人分のパスタを茹でる大鍋で、大サジ2杯程でしょうか。逆にソースの塩加減は控えめで、まったく塩を加えない事もあります。茹で上がったパスタは、あまり神経質にお湯切りする必要はありません。ソースの絡み具合を見て茹汁を加える事もあります。フライパンの上でソースとパスタをさっと絡めて火を止めます。丁寧に炒めてソース焼きそばみたいにしてはいけません。
…と口うるさく書いてしまいましたが、皿うどんみたいなパスタだって美味しいかも知れません。私も海苔をまぶしたタラコスパゲッティも大好きです。でも料理は文化。器用に箸を使って日本料理に舌鼓をうっているイタリア人に負けずに、私達もイタリア文化を楽しみましょう。さあ! ご自慢のパスタをおいしくお召し上がりください。
※直系のサン・マルツァーノは現在では稀少品。1996年には生産地呼称DOPが指定されました。これが明記されていないものは、混合品種です。
※※もちろん生でも美味しく食べられます。
※※※トマトの赤い色素は抗活性酸素効果などで近年注目されているリコピンそのものです。