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第4回 カオリ・ナラ・ターナーさん
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トイレに隠れてダンスの練習 |
進藤 |
ターナーさんの『メイクアップハリウッド』(角川出版社)によりますと、メイクアップの仕事をされる前は、浅草「新世界」のトップダンサーでらして。ダンスに夢中になったきっかけは何だったんですか? |
カオリ |
やっぱりアメリカ映画を観てたんですね。『パリのアメリカ人』とか『ウェストサイドストーリー』とか。私たち、お弁当もって観にいってましたよ。当時は、入れ替えがないから、朝1回目に入ってずっと見っ放し。それも何日も通うの。
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進藤 |
ビデオやDVDなんてないんですものね。 |
カオリ |
もう10回、20回と観ると、お芝居は飽きちゃってるでしょう。だから、踊りの場面を全部覚えて、ロビーでみんなで踊って。「そこはこうだ」とか「その動きは違う」とか言ってわからなくなると、「じゃあもう一遍」とまた観る(笑)。もう大変でしたよ。
入れ替えのときにはトイレに隠れたりして。いま思うとすごくおかしいけど、そのころは普通でしたね。 だからアメリカに行くことも、一生懸命だし、覚悟がいりましたよ。いまみたいに自由だと、アメリカへも留学より遊学の人のほうが多いでしょう。 |
進藤 |
ドキッ(笑)。
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カオリ |
「やっと来れた」というのがないんじゃない? |
進藤 |
そうですね。思いの深さが違うかもしれないですね。 |
カオリ |
自由なのが幸福なのか不幸なのか、あんまり簡単に行ったり来たりすると、感激は薄れるでしょう。 |
進藤 |
「味わおう!」という積極的な気持ちが少なくなる。 |
カオリ |
そうそう。必死に何かをつかもう、というのがね。私たちのときは、ニューヨークの踊りの学校に行っても、食いつくような踊りの習い方をしてました。 |
進藤 |
というと? |
カオリ |
ニューヨークのダンサーは、冷たいって言えば冷たいから、日本みたいに「次はこうよ」なんて教えてくれる人誰もいない。自分で見過ごしたらもうダメ。「あそこどうだったけ?」と聞いても、“I don't know”と言われちゃうからね。 |
進藤 |
競争社会そのままなんですね。 |
カオリ |
だから、場所取りが大変。先生が来る30分前には絶対にいて、ストレッチしながら一番いい場所取っちゃうの。 |
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