SOHOワーカーまたはSOHOスタイルでの独立を検討している人を対象にした、SOHO・起業コース『成功するSOHO・失敗するSOHO』。
講師にお迎えしたのは、有限会社ワイズスタッフ代表取締役の田澤由利さん。SOHOワーカーが成功する秘訣を、ご自身の実践例を交えながら話していただきました。
■SOHOワーカーへの道は険しい
ブロードバンド環境の浸透や厳しい不況の中、育児や介護をしながら、居住地を選ばず、また定年後も仕事ができるSOHOスタイルは増える一方です。しかし、「目立った実績やコネでもなければ、企業は面識のない個人に仕事を与えない」「細かい説明や特殊な技術が不要な仕事内容が多く単価が安い」というのも「SOHOの現実」です。
お子さんを抱え、ご主人が転勤族で地方在住の田澤さんはそれらの問題を直視したうえで、SOHOワーカーとして仕事を続け、SOHOがビジネスとして成立するということを認知させたいとの想いから起業を決意されました。
■「SOHOをマネジメントする」という発想の背景
田澤さんは、SOHOを運営する上で「社会的な『信用』を得る」という課題にポイントを当てられました。
その課題を実現すべく、ネットオフィスを通常の会社と同じように機能させる「SOHOマネジメント」という手法を提唱されています。実在の「ローカルオフィス」が個々のSOHOワーカーのレベルを管理しながら、ワーカー同士がスムーズに仕事に取り組める環境を作ることで、社会的信用を築こうというのです。
もう一つの課題である「一般企業にない『メリット』を持たせる」ということも、「SOHOマネジメント」ならば、カバーできると田澤さん。管理者側のメリットとして、家賃・人件費が無いこと、SOHOワーカーの層が厚いので受注する仕事の規模やジャンルが広がることなどがあげられます。SOHOワーカーはコネが無くても仕事ができて、しかも専門業務に専念できます。また、効率のよいアウトソージングがコストダウンにつながるなど発注企業側にもメリットがあります。
田澤さんが起業の際に柱にしたのは、「一般企業でしていることをどうしたらネット上でできるのか」ということでした。社内メールはメーリングリスト、ファイルキャビネットはインターネットデスィクなど、会社で必要なツールをネットのソフトに置き換えました。特に会議室の役割を担うツールについては、メールソフトにプロジェクト管理機能を組み込んだ「バーチャルオフィスウェア」というソフトを自ら開発、特許を取得されたそうです。
また、採用システムの確立や教育制度の導入、健康・メンタルケアなどのワーカーへの細かいサポート、個性的な体制を正確にアピールする営業が、将来のSOHOビジョンの拡大に結びつく大事な心がけであるとおっしゃっていました。
■ズバリ、成功するSOHOとは?
SOHOを成功させるためには、「営業から納品まですべてをこなせるスキルを持つ」「人的ネットワークを徹底的に活用する」「法人化を目指す」ことが大事であると田澤さんは述べられました。そして、自分のSOHOスタイルに満足できた時点で成功といえるのではないかとおっしゃっていました。
田澤さんが一貫して訴えておられた、「バーチャルビジネスだからこそ、限りなくリアルに近づく必要がある」ということは、すべてのネットビジネスに通じることでしょう。
■成功に一役買ったツールに興味津々
質疑応答時のリクエストもあり、クライアントにSOHOスタイルを伝える事例として、田澤さんの会社の企業紹介ビデオが最後に上映されました。
また閉会後の歓談では、「バーチャルオフィスウェア」に参加者の方の関心が集中し大いに盛り上がりました。