ewomanユニバーシティ第2期最終回は、『起業前に絶対知っておきたい成功・失敗の法則』。独立・起業情報誌『アントレ』(リクルート)編集長の野村滋さんを講師にお迎えし、一万件以上の創業事例の取材に基づいた、起業の成功・失敗のポイントを解説していただきました。
■マーケティングは、「知識×行動力×創造力」
成功すると思ったアイデアがマーケットのニーズとずれているために失敗してしまうケースは往々にしてあるので、マーケティング活動はきちんと行うべきという野村さん。特に大切なのが、マーケティング・ミックス4P(Product<商品>・Price<値段>・Promotion<販売促進活動>・Place<販路>)。売りたい相手を定め、その商品が相手にとって合理的で値ごろ感があるかどうかを考え、購買欲をかきたてる活動や適切な販路を設定するという、マーケティングの基本理念です。野村さんが紹介された「4Pを踏まえて成功した事例」と「あいまいに考えて失敗してしまった事例」がその重要性を物語っていました。
事業を成功させるマーケティングに不可欠なものを、野村さんは「知識×行動力×創造力」と表現されました。マーケティングの基礎知識に加え、積極的なリサーチ活動や営業力、そしてひらめき。これらの相乗効果が事業の成功への糸口をつかむのではないか、とのことでした。
■自分の成功基準をはっきりと定める
これから起業を本格的に目指す人に野村さんがぜひ取り組んでほしいとおっしゃっていたのが、自分の成功基準、独立動機をはっきりさせるということ。「成功」という言葉の定義は個々で定める今の時代、収入や地位に限らず、自分の好きなことで生活を送れる満足感など「成功の形」は多種多様です。それを起業前に定めておけば、将来窮地に立たされた際、乗り越えようとする気持ちが強くなるはず、と野村さん。
そしていざ起業となると、自分が起こそうとしている事業が収益に結びつくのかどうかの見通しを立てる必要があります。そこで考えなければならないのが、事業計画書の作成です。野村さんが第一に述べられた作成のポイントは、人に読んでもらうことを考えて書くということ。資金やパートナーの獲得に直接結びつく事業計画書は、時間を割いて読んでくれる支援者の心に届く内容であることが絶対条件なのです。また支援者が納得できるように、成功するまでの青写真を具体的に書くことも大事なことだそうです。
続いて、事業計画書を書くにあたってのチェックポイントが紹介されました。事業内容説明や収益関連をはじめ、競合相手との差別化のアピールやリスク対策の提示など、多くの起業家の卵と接してきた野村さんからの、現場の声とも受け取れる内容でした。成功例や失敗例を交えながらの説得力のある野村さんの話を、受講者のみなさんは熱心にメモを取りながら耳を傾けておられました。
■成功のカギは、まっすぐな志とエネルギー
野村さんは多くの成功した起業家との出会いを通じ、独立に成功している人に間違いなく共通していると実感されていることがあるそうです。まず第一に、すべてを成し遂げようという力が備わっていること。自分が好きなこと、やりたいことであれば、夢をあきらめず行動できます。第二に、支援者が多いこと。失敗しても再び拾い上げてくれるような人がいればこそ、新規事業という冒険ができるのです。その事業を起こすうえでの志が正しければ、共感して応援してくれる支援者は自然と集まってくるとのことでした。
受講されたみなさんは、今回の講座を基に自らの起業を振り返って、事業実現に向け、現時点で自分がなすべきことを見出すことができたのではないでしょうか。