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伊勢崎賢治さん
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紛争屋っていうのは、紛争に巣食っている
- 佐々木
ご自身は「紛争屋」って呼んでいるんですか。
- 伊勢崎
はい。
- 佐々木
でも平和屋なんじゃないですか?
- 伊勢崎
いや、紛争屋っていうのは、紛争を巣食っているから。紛争を糧に生活しているんです。僕らが今までやっていたのは、いわゆる火消しですよね。紛争をどうするかっていうのは、だいたい、それが起こってからなんですよね。火消しは華々しいですから、火事場に駆けつけるのと同じで、非常にヒロイックですし、脚光も浴びますし、お金も儲かるわけですよ。その業界があるんですよ。
- 佐々木
紛争解決屋ね。
- 伊勢崎
解決もしないです。
- 佐々木
解決もしない?
- 伊勢崎
紛争処理って言ったほうがいいですね。あるいは、気持ちの上で、やっぱり紛争を、新しい紛争が起こるのを心待ちにするような……。
- 佐々木
刺激を求めて?
- 伊勢崎
そういうようなのがありますね。次の食いぶちを……。安全になってくると、火消し屋のニーズは下がってきますし。だから、非常に危険な業界なんですよね。
- 佐々木
平和になったら仕事がなくなる、と。
- 伊勢崎
そうです。でも紛争屋だけじゃない。だって、NGOだってそうじゃないですか。あれだって、紛争が起こって人道的ニーズがつくられることで食いつないでいるので。ジャーナリストだってそうじゃないですか。我々一般市民だってそうでしょ。戦争が起こると皆、ビール飲みながら、紛争情報を戦争文化を消費しているわけですよね。だから皆、紛争業界の一員なんですよ。
で、たぶん損をするのは、被害者だけですよね。それ以外は全部、ある意味、戦争から裨益している。だから、そういう反省も込めて、小さな予防っていうことを、これからやらなきゃいけない。で、何をやらなきゃいけないかっていうのは、もう分かっているんです。
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