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志村季世恵さん
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自分で考える、という力
- 佐々木
わたしも同じ考えです。でも、そのスイッチが目の前にあるのに、つけない人がたくさんいるでしょう?
わたしも以前、そのような仕事をしていたこともあり、人と話をしていると、「この人は、この部分をこういうふうにしたら、ずいぶん変わるのにな」とか、歩いている姿を見るだけで、「この人はこんな人生を送ってきたんだろうな」とかわかるんです。その場合、相手が身近な人だったら、先に答えを言いたくなっちゃうんです。
多分、志村さんも、人に会った瞬間に、この人はこういうふうにすればいいんだ、ということがおわかりになるんですよね。でも、その結果は言わないんでしょう? その人が自分で自分を探すことが大切だから……。
- 志村
そうなんです。
- 佐々木
すぐに自分で気付いてくれる人なら導きやすいけど、あまりに気付かない人だと、「見えないの? 北はこっちよ」って言いそうになるんですよね。志村さんご自分の中で、葛藤とか、我慢することとか、ありますか? たとえば、さっきのお話にもあった、北はどっちなのかわかっているときも、「こっち」とは言わずに「どっちなんでしょうね?」って聞いてみるわけですよね。
- 志村
そういうときは、祈るんです。わかんなくなっちゃってる人に対して、「どっちなんだろうね?」と聞いても通用しないんですよね。だから、ひたすら神さまにお祈りしているんです。「この人が幸せになりますように」「この人が自分のことを好きって思いながら生きていけますように」って。
わたし自身、こうしたらいいのにと思うけれど、何もできない。何もできなくなってしまうから苦しいんだよね。でも、お祈りすることはできるんですよね。すると何かをしていることになるんですね。
- 佐々木
言わないんですか、答えは?
- 志村
わたし自身も答えがわかっているとは思っていないんです。北がどっちにあるかがわかっていても、その北が正しい方向かどうかは、わからないんですよね。どんな考え方があったっていいと思う。その人なりの答えがあって、どれも間違っていないと思うんです。
たとえば、この前カウンセリングに来た女性がいてね、離婚の話でした。本当は好きな人がいるわけ。お互い恋し合っていて、美しいほどのプラトニックなわけです。一方で別れようとしているだんなさんはひどい人なんですよね。だからその好きな人と一緒になればいいと思うんですよ。
だけど、彼女は自立しようとしているんです。50歳で25年間専業主婦だったので、職を持っていない。今、医療事務の学校に通って、一生懸命自立しようとしている。それはそれで、間違っているわけではない、とても美しいわけです。
わたしは、「好きな人と一緒になることのほうが幸せだよ。これから大変だよ」と、自分の価値観を押し付けるのではなくて、その人の決めた生き方を見ていたいと思っているんです。ああ、こういう生き方もあるんだな、っていうふうに。
それは自分で決める幸せだから、わたしの価値観で判断するものじゃないんですよね。だから、それはストレスにはならなくて、すばらしいことだなと思える。
ただ、どっちも変になってくるといけないよね。奥さんが家を出てしまってからだんなさんがうつになってきてしまったわけです。奥さんのほうは、そのだんなさんのうつが治って幸せになるまで、わたしが幸せになってはいけませんよね、そう言ったの。でもそういう場合は言わせてもらいます、「違うと思うよ」って。
どうしてかというと、という説明をしてわかってもらいます。そんなふうに明らかに違うと思う部分の枝葉は、切り落とさせてもらうけれど、あとは選ぶのは自分たちだからね。
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