ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第2回 松本大さん

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松本大さん
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to be or not to be
- 佐々木
わたしは、何もないところからユニカルという会社を創りました。でも松本さんはゴールドマン・サックスで違いますよね。史上最年少のゼネラルパートナー(共同経営者)に就任され、会社に残ればストックオプションの権利を行使できたと聞いているんですが、そのようなタイミングで、あえて起業という道を選ばれた。というところからお聞きしたいんです。「起業」という決断をされた時、どういう思いでいらしたんでしょう。あちらこちらでお話されているとは思うのですが、ゴールドマンサックスを辞められる時の思いはどんなものだったんでしょうか。
- 松本
辞める時の思い? あれはですね、きわめてつらい決断でした(笑)。パートナーで、そのポジションは、世界的大企業の中でもかなりのものでした。パートナーというのは所有者でもあり、普通の会社の役員とかに比べても、ちょっと違っていて、ジョブセキュリティみたいなものは高いんです。力もあるし。あとは、「日本人」で「若い」という、稀少価値もあって、ゴールドマンでは、順風満帆とは言わないまでも、かなりいい位置にいたんですね。インテレクシュアル(intellectual
- 佐々木
あと数カ月いれば、数十億円手にされていたんですよね?そのことは当時知っていたんですか(笑)。
- 松本
「それも取り損ねますよ」という言われ方でした。事実そのものも知っていました。だから辞めない理由はもう2億個くらい(笑)、数えられないぐらいあったんですよ。一方で、社会環境とか、自分のやってきた金融という仕事とかを考えると、自分はキャピタルマーケットの中で育ってきた。そこで力もついて、認められて成長したと感じていたんですね。一金融人として今やらなければならない、と思ったことがあるわけですよ。
今さら機関投資家でも、債券でもないし、オフラインでもない。そう思っていたんです。そこで、オンラインで、個人向けに、株式関係の仕事をすると決めたんです。もっと言えば、自分を育ててくれたキャピタルマーケットはいいものだと思っていた。マーケットというのはすごく民主的なものなんです。デモクラシーとキャピタルマーケットとは、実は相通じるものがあって、民主的なプロセスでいろんなものが変わっていくものだから。そういう、マーケットって悪いものではないんですよね。
「金融」というのは決して、悪いものではない。そのことをちゃんとみんなにわかってもらいたい。さらに、一日本市民として自分に何がわかるか、自分に何ができるか、ということと、自分は日本の市民であるということを考えると、自分なりに貢献したい気持ちもありました。マーケットの実情というのがみんなに伝われば、それによっていろんなプロセスがもっと民主化してゆくかもしれない。「マーケットっていうのはいいものなんだよ」という考えから、今のこの仕事をやりたいっていう思いが強くなったわけです。ゴールドマンサックスに残るほうにも、起業をするほうにも、両方いい面があって、全然決められなかったんです。(笑)。
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