ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第28回 米倉 誠一郎さん

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米倉 誠一郎さん
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ひざが震えた、上海
- 佐々木
米倉先生がいろいろなイノベーションを見てこられて、印象の強いものは何ですか?
- 米倉
僕ね、世界中に行ってますが、ひざが震えたのは3回だけなんです。
まず、若いころに行ったギリシャのパルテノン神殿。すごいなあと思って。これは意味もなく震えたんですけど(笑)。
最近では90年代のシリコンバレー。そして、3年前の上海。90年代に行ったときも震えたかな、上海。この2個所は、「これはえらいことが起こってる」って。
- 佐々木
上海の急成長はすさまじいですが、シリコンバレーではどんな体験を?
- 米倉
ある日ベンチャーキャピタリストと会ってたら、「今からすごい有望な人が来るから紹介するよ」って言われた。で、来たのが短パンにTシャツのおにいちゃん。すぐ向かいに座ってね。僕は「なんだろうな、大学院生かな」なんて思っていたら、その人のことだったの。
で、話すことがすごいの。「僕が世界を変える、だいたい何十億円くらいあれば、こういうことをする。今そのキャピタルも来たし、このテクノロジーはすごい……」とか、わーっと勢いよく話してくれた。
僕も聞きたかったんだけど、ほかに日本人の先生がいっぱいいて、彼らもウズウズしてたんだと思うんだけど、ついに一人がしびれを切らして、「すごい話だけど、失敗したらどうなるの?」って聞いた。
そいつがその時、「失敗!? したよ! もう3回も! だから今度は大丈夫なんだ!」って。
あれ聞いた時に、「ああ、やっぱりここはすごいんだ」と思いましたね。“Failure is everywhere”って言って、「失敗なんかどこにでもあるぜ」って言うんだけど。それも嬉しそうに、「いや、本当だよ、失敗を3回もしたんだから、大丈夫だよ、今度は!」って。
- 佐々木
何歳くらいの人ですか、その方は?
- 米倉
25、6歳だったかな。だから学生の時からずっとやってるってことだよね。後でベンチャーキャピタリストと話したら、「似たようなビジネスプランが来たら、絶対過去に失敗した人に投資する」って。
日本では逆でしょう? 失敗したやつは危ないから、っていって。でも、白紙のやつのほうがもっと危ないに決まってるじゃないですか。
- 佐々木
経験は、大いに役に立ちますからね。
- 米倉
ところで、中国語は賢いんですよ。日本はイノベーションを「革新」って訳しちゃったでしょ。でも中国はね「創新」って訳したの。新しいものを創る。これこそイノベーションらしいじゃないですか。中国人のほうが的を得てる(笑)。
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