ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第40回 枝廣淳子さん

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同時通訳者・環境ジャーナリスト・セルフマネジメントコーチ
枝廣淳子さん
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フィードバックの遅れ
- 佐々木
なるほどねえ。温暖化って日常から遠い言葉ですよね。その中で何をしようかと思うと、二酸化炭素の排出量を削減しようとかになる。さまざまなことを考えて行動しようとはするのですが、成果がすぐに見えないから続ける意欲につながりにくい。
先ほど「環境畑のわたしたち」とおっしゃいましたが、その畑に入らないかぎり、意識はあっても達成感がない。ジレンマですよね。
- 枝廣
おっしゃる通りですね。それを「フィードバックの遅れ」と言うんです。
たとえば、今日わたしたちが電気を使ったり、車に乗って排出した二酸化炭素は、150年経っても半分は残ってるんです。400年経ってもまだ残ってる。フロンガスになるともっと長い。
今日排出したものがブーメランのようにすぐに返ってくるのなら、わたしたちは行動を変えますよね。でもブーメランが返ってくるのは何世代も後。
だから今、一番わたしたち人間に必要なのは、想像力だと思うんですね。
自分が住んでいる場所とか、自分が見ることができる何年か先を超えて想像することができるか。想像力がないと、どうしてもフィードバックの遅れが出てきて、対応も遅れる。
また、今の経済体制の中で仕事をしている人たちは、それを守りたいと考えますよね、そこから給料をもらって生活しているわけですから。今の経済活動が環境に悪さをしているとしたら、本当はそこから考え直さなければならないけど、それは自分のやってきたこととか、自分の生活の拠所を否定することになるので、みんな怖がってやらないんですね。特に男性はそうかな。
女性はこれまで、どちらかというと社会の本流にいなかったですよね。そのために見えることがあるし、その分、思い切ったこともできる。今ね、環境は特にそうですけど、NGOや地域の活動を元気に引っ張ってるのは女性が多いんです。
やっぱり女性にはね、さきほどお話しした「世代を超えた想像力」があると思うんです。もちろん男性にもある人はいますが、命のつながりとかね、そういうことも関係しているのかもしれない。だから特に日本では、女性がもっと活動すること、環境問題を含めていろんな問題を早く変えていく力になるだろうなと思いますね。
- 佐々木
面白いですよね。男性とか女性とかあんまり言いたくないのですが、男性が過去の経済活動の遺伝子を引き継ぎながらできること、できないこと、女性が経済界で虐げられながら育ててきた遺伝子が今できること、できないことには明確な違いがある。
7月にアスペンで、世界の財界やNPOのトップの男女を招いて開いた会議と、先日ロサンジェルスで開かれた「FORTUNE most powerful women’s summit」に出席させていただいてね。ともに、必ず環境がテーマにあがるんです。世界のリーダーは、地球環境をかならず考えている。
でも、女性だけの会議のほうが、地に足のついた話ができることを如実に感じたんですね。別に女同士つるむ、というのではなくて、ウーマンリブを超えた人たちが、「やはり女だ」、と言う意味を垣間見た気がしました。やはり女性がキーなのでしょうね。
- 枝廣
思いますね。それは「女性的なもの」と言い換えてもいいかもしれませんが、わたしが共同代表をやってる「Japan for Sustainability」という小さなNGOでは、ほとんどの活動を300人くらいのボランティアの人にやってもらってるんですが、その9割以上が女性ですね。
皆さん、「自分のできることをできる時間でと思うのでしょうけれど、実際に行動に移すのは女性が多いし、参加している男性を見ても、人の話をよく聞くし、自分でなにかを決め付けるよりは、みんなで一緒に考えていこうっていう「女性的な部分」をすごく大事にしている。そういう女性的なものは、これからすごく大事になるし、もっと出てくるんじゃないかと思いますね。
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