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HP研究所シニア・フェロー、Viewpoints Research Institute プレジデント
アラン・ケイさん
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わたしが考える子どもの教育、一つを教える500の素材
- アラン
もし、ある学年の子どもを一年間教えるとしたら、おそらく毎週10個の違うプロジェクトを用意して、子どもたちに好きなプロジェクトを選ばせるべきでしょう。
各プロジェクトはその週の共通アイデアがある。子どもたちはそのアイデアについて話し合うこともできます。さまざまなプロジェクトがたくさんあって、子どもは自分が一番やりたいものを見つけられるのです。
- 佐々木
自分で課題を選ぶ。
- アラン
これは、今の学校のやり方とは非常に異なっていますよね。今、学校では、子どもの意見は勘定に入れなくていいという前提に立って、授業が進んでいます。子どもたちには従順でいることを教えるのが基本だと考えています。でも、それだってそんなにうまくいっていないでしょう。
- 佐々木
まったく。
- アラン
子どもは皆、最初はアーティストです。できるだけ長く、こういう捉え方をしてあげたらいい。子どもたちには十分に素材を用意する必要があるのです。子どもたちの発想に対して大人は、芸術的な視点で感情のこもったリアクションをしましょう。このプロジェクトには多くの人間が必要なのです。
- 佐々木
大変興味深い方法ですが、実際に学校の授業の一環として取り入れるのには、教師側の力量もあるし、難しいのでは?
- アラン
そうですね。でもこうしたことは、学校のプログラム以外で実現可能だと思いますよ。例えば、サンフランシスコに、エクスプロラトリウムという素晴らしい博物館があります。この博物館が最初にできたとき、たったひとつのアイデアを教えるために500の展示物がありました。それは「世界は同じではない」という発想です。これは非常に重要な発想です。どの展示物も、子どもたちが普段こうだと思っている物事が突然違って見えるように設計されていました。
- 佐々木
シリコンバレーの近くにある子ども向けの博物館にアメリカで行ったことがあります。そこかもしれません。子ども向けとはいえ、さまざまな技術に触れることができ、見事だと感じました。
- アラン
設計者たちも、どの展示物がどの子どもにアピールするかわかりません。博物館には一度に2,000人の子どもが入れるようになっていて、そこで500種類の違う展示物を用意して、子どもたちが自分の興味のあるモノを見つけられるようにしたわけです。インターネットを考えてみてください。この博物館と同じ可能性を持っていますね。
- 佐々木
本当だ。興味を持つ力と選ぶ力、ですね。
13/20
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