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特定非営利活動法人スペシャルオリンピックス日本 理事長
細川佳代子さん
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誰も知らないから、世界大会をする
- 細川
そんなときに、ちょうど5年前、2000年に、アメリカの国際本部に研修に行ったのね。そのときの役員で、現在会長のティモシー・シュライバー氏から、ちょっと2人だけで会いたい、って呼び出されて。それで何事かと思ったら、今、2005年の冬季大会に立候補を募集しているけれど、日本はなぜ立候補しないのかって言われて。
私、いやそれはしたい、したいけれど、今まだ日本は1500人しかアスリートが参加していないし、まだ日本の十数都道府県しか支部がなくて、本当に誰もスペシャルオリンピックスを知らない。そんな状況で、世界大会なんかとてもできない。せいぜい数千万の年間活動費を、集めるのでも手いっぱいなのに、とてもできない、って言ったんです。そうしたら、「だからしなくちゃいけない」って言われたの。ああそうか、って思ったの。
- 佐々木
誰も知らないからこそ、大会を開いて知ってもらういいチャンス。いい市場だという考えですね。
- 細川
そしていい例として、オーストリアを挙げて。93年頃は、オーストリアでもスペシャルオリンピックスはまったく認知度がなく、1000人しかアスリートがいなかった。日本と同じ状況にあった。ところが、2000年までの7年間で、アスリートが2万人に増えているんですって。
そして、ヨーロッパで最もスペシャルオリンピックスが盛んな国になって、バリアフリーも進んだ。ボランティア活動も盛んになって社会が変った。そして、また今回立候補している、って言うんですよ。今度は国がバックアップしているって。世界大会をすることによって、大変な遺産が残る。
- 佐々木
国民の一人ひとりの心に遺産として残るんですね。
- 細川
そう。すばらしい結果。だからもう一度手を挙げているんだから、日本が小さいっていうのは理由にならない、って。小さいから、大会をすれば、絶対に、このあとオーストリアみたいになる、だからやれ、って。私すぐ乗っちゃったわけ。そうだ、その通りって(笑)。
- 佐々木
そこがまた細川さんのいいところで(笑)。
- 細川
そうよ、って思ったわけ(笑)。でも日本に帰ってきたら、みんな、行く前の私と同じ考えよ。それは無理だ無理だ、って。
- 佐々木
それは無理だ、って言われたのが、細川さんの強いモチベーションになるんでしょうね。きっと。
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