ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第6回 川合アユムさん

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川合アユムさん
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なんで向こうにないんだろう
- 佐々木
それは成績優秀だった故の悩みなんでしょうね。どんな中学校だったんですか?
- 川合
普通の公立の中学校。成績は優秀でした、中学校のころは。
- 佐々木
学級委員を任せられるようなこどもだったから、ご両親もアルバイトを許したんでしょうね。でないと「アルバイトはまだ早い」となりそうですものね。
- 川合
なりますかね。
十三(じゅうそう)の下町で育ったんですが、僕のまわりでは、バイトしたいというやつはみんなバイトしてましたね。
- 佐々木
そうなんですか。で、外国には行かなかったんですよね。
- 川合
外国には行けませんでした。
子どもなりにいろいろ調べたんですけど、青年海外協力隊とかね。でも、全部20歳未満は駄目なんです。先進国にはあんまり行きたくなかったんです。日本も他の先進国も同じようなもんやろうと思ってましたから。発展途上国であんまり人が経験したことのないことを経験してみたいな、と思って脱出を試みたんですけどね、それも駄目でした。
- 佐々木
それはとってもユニークな発想ですよね。でも、よくわかる。わたしはニューステーションのリポーターとして難民キャンプや紛争地帯などにいろいろ取材に行きましたけど、その先で見ること、出会う人、全てが学びの体験で、今でも宝物です。それにしても、中学生でアルバイトして30万円のパソコンを買おうって考えるのも、海外に行くなら先進国じゃないだろうっていう発想も、川合さんらしいのかな。
- 川合
それにはね、ちょっとした経験があって……。僕の子どものころ、家のテレビはまだ白黒テレビだったんですね。カラーテレビに変わった瞬間とか、電話機がついた日とか覚えているんですよ。テレビ番組も最初のうちはいろいろ見てたんですが、そのうち、飢餓に苦しんでいる人なんかの海外のいろんな映像が流れ始めたんですね。
うちの家っていうのは、お金持ちじゃなかったんですけど、飢えた覚えはない。でも体調によってはごはんを食べたくないときだってあるじゃないですか。
- 佐々木
わたしにはないけど(笑)。
- 川合
(笑)そんな時に、うちのおやじがね、画面の向こう側の人を指差して、「ああいうふうにね、ご飯も食べれない子どもたちもいるんだから、残さんと食べ」と。そう言われて、「食べないとあかん」と思って食べながら、なんかおかしいなと思ったんです。
外国って遠いところなんだろうなと思ったんですが、「こっちに余ってるんやったら、向こうにちょっと分けてあげられるはずやのに。カメラはそこまで行ってるのに、なぜそこに持って行ってあげられへんのやろう?」っていう素朴な疑問が子どものころ強くあったんです。
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