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アン・オレアリーさん
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家族と共に問題解決
- 佐々木
学校心理学者というのは、生徒だけでなく、先生や親の診断も行うのでしょうか。
- オレアリー
先生は診断しませんが、教室で授業を見ることはします。たとえば、担任から「どうしていいかわからない。ちょっと自分では手に負えない子どもがいる」などという相談を受けた場合には、その子どもがいるクラスの授業を何回か観察させてもらい、メモを取って、担任とのやり取りや様子を先生にフィードバックするんです。たとえば、「ジョニー君の場合、席を一番前にしてみたらどうかしら、もしかすると耳の聞こえが悪いのかもしれない」という感じです。
- 佐々木
確かに小学生の低学年は、席でずいぶん違いが出ますものね。
- オレアリー
そうなんです。時に、出席名簿准に席を決めていたりしますから。いろいろ、観察して気付いたことを提案したりするんです。
また、親からはさまざまな相談が直接私たちのところに寄せられるんですよ。「離婚したんですが、子どもにどう言えばいいかわからない」「どんな本を読んでやったらいいのでしょうか」「毎朝、学校に行きたがらないのだけれど、どうしたらいいか」「学校のトイレを嫌がっているんですが」といった電話がかかってきます。そういった電話は、ソーシャルワーカーにもかかってきます。
- 佐々木
学校心理学者とカウンセラーについては、先ほどお尋ねしましたが、ソーシャルワーカーとカウンセラーの違いは何ですか。
- オレアリー
ソーシャルワーカーは、カウンセラーに比べて多くの教育、訓練を受けていると思います。家族との関わり方や、問題解決の仕方など。さまざまなセラピーも。私たちの学校では、子どもが特殊教育を受ける場合には、その前に子どもの生活調査をする必要があるのですが、それがソーシャルワーカーの仕事です。今までの家庭の状況をさかのぼって聞き取り調査をする、といったことです。それ以外に、カウンセリングも行います。
- 佐々木
ソーシャルワーカーの方が、カウンセリング技術の訓練を、カウンセラーより受けているということですか。
- オレアリー
そうです。家族療法の訓練など。この学校で働くソーシャルワーカーの多くは地域の福祉事務所などの政府機関と連携していて、社会福祉サービスなどについても詳しいです。ですから、「2歳の子どもがまだ歩かないんです、どうしたらいいでしょう。お金もないし、どうしていいかわからないんです」というような相談を受けた場合、ソーシャルワーカーは家を訪ねて、その地域でどんなことが可能なのかを知っているので、サポートしてくれる地域の事務所などの電話番号を教えたり、どうしたらいいかを提案したりします。
また、人付き合いがうまくできない、離婚などをふくめ家族の形が変わろうとしているときの心の不安、不登校や、「朝になると子どもが泣く」といったさまざまな問題があった場合、ソーシャルワーカーは解決の仕方を良く知っていますから、それぞれのサポートグループを紹介したりするんです。
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