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池上 彰さん
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改めて、専門書を読み直しました
- 佐々木
そのようなことは、番組が始まった頃にガツンとわかったっていうことですか? それとも本当に、日々11年間……。
- 池上
1回目からですね。「官房長官って何?」っていきなり来て、おっとっと、ですよね。それで、やればやるほど、次から次へと出てきました。
- 佐々木
それは池上さんにとって、何だ、こんなことも知らないのかっていうふうになるよりも、やっぱり前向きの意味でとらえられる、発見であり、興味につながったということですか?
- 池上
そういうことですね。「子どもにわかるように」という大前提がありました。大人であったら「何だ、そんなこともわかんないのか」って言ってたかもしれません。
でも、子どもがわかんないと言ったら、「そりゃそうだよね」って思うわけです。だから子どもにわかるように伝えなければいけないから、じゃあ、どうしようと。また、子どもに説明できない自分に気がつきましたね。
- 佐々木
池上さんは、そこで、どういう勉強というか、研究をされたんですか?
- 池上
これはね、改めてそういう専門書を読み直したり、解説書を読み直したり、自分なりに考えたりするわけですね。
たとえば、最初の頃に、国会予算のことを説明したんです。「国はお金が足りない、税金だけでは賄えないから、国民から借金をしています。国債と言います」ってこのようにやったわけですよ。
そうしたら、すぐに子どもから質問がきてね、「国にお金が足りないんだったら、お札をもっと印刷すればいいじゃない」。……もっともな質問ですよね。
- 佐々木
そうですね。お金がないなら、お金を印刷すればいい、と。
- 池上
大人だったら、「いや、日銀が勝手にお札を発行したらね、これインフレになるんですよ」って言いますでしょ。でも子どもには、どうしてインフレになるってことを説明しなきゃいけない。銀行がお札をいっぱい発行すると実はインフレになるんだっていうことを、子どもにわかるように説明しなければいけない。あわてて経済学の本をみんなひっくり返したんですよ。どこにも書いてないんです。
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