「王様は裸だ」って子どもは言うんです

佐々木

「週刊こどもニュース」で、子どもの質問から学んだとおっしゃるんですが、それは打ち合わせで出てきてっていうお話しですよね。子どもが、打ち合わせにない質問を突然番組中にしてしまうっていうことは……。

池上

しょっちゅうありますよ。前にね、森内閣の改造のときに、「内閣改造とは何か」ってことをやったんです。内閣改造っていうのは、総理大臣は変わらないけど、総理大臣と一緒に仕事をしている内閣の大臣を入れ替えることで、これを内閣改造というんだって言って、森さんの模型を作って、準備したんです。

子どもからもし質問があるとしたら何だろうって、当然こちらとしては予習をするわけです。

佐々木

傾向と対策、ですね。

池上

はい、いろんな傾向と対策を考えて。たとえば、「内閣って何でそんな名前がつくの？」「あれは昔、そもそも中国で大きな家って意味だったんだ」とか。

それから「大臣」って何だろう。これも中国から名前が入ったわけです。要するに偉い人っていう意味ですよね。大臣ってどういう意味なのって聞かれたら、すぐ答えられるようにって当然、調べてるわけです。「よし、何聞かれてもOK」って準備したわけですね。

で、番組が始まり、説明が終わったら、中学生の女の子がね、「そんなに大臣入れ替えて仕事できるの？」って。

あー、その通り。子どもってほら、王様は裸だって言うわけですよ。まさか、そんな質問がくるとは思わなかったから、思わずしどろもどろになってね。「うん、そう、そう、そりゃ確かにね、そう思う人はいるよね。でも、ま、森さんはできると思ったから、やったんだろうね」としか答えようがなかったですよ。

佐々木

子どもだからと思っていると、本質的なことをグサリと質問する。でも、大臣については、私も良く思います。政府の委員をさせていただいていると、新しく大臣の方々が、委員会にいらして新任のご挨拶されたりしますが、「まったくの素人ですが、この分野それから勉強します」って頭下げられたりすると、変な感じがするんですよね。

池上

それ、番組でやったことあります。内閣改造のときに、次から次へと大臣記者会見ありますよね。で、「私はこういうことはまったくの素人ですからこれから勉強します」って。かなり謙遜して言っている人もいるけど、大体が本当だったりする。

佐々木

本当だったりする……。

池上

そのビデオを次々に流してね。「こんなことじゃ困るよね」って言ったことがあるんです。

佐々木

本当ですよね。それこそアメリカだったらありえない。何であんなに知らない、知らないって言うんだろう。

池上

そうですね。ありえないですよね。小泉内閣になってからなるべくそういうことしないようにしようってなりましたけど。これもなかなか言えないけど、某法務大臣のように困ったことが起きたりするんですよね。