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パトリック・ダヴィッドさん
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医療支援は、3年間
- 佐々木
「世界の医療団」は、現地スタッフに活動の主導権を移譲していくシステムは、どんなものがありますか? プロジェクトごとに、達成目標を定めて、それが達成された時点で引き上げるなどがきまっているのでしょうか。
- ダヴィッド
私たちの場合、「住民が健康になる」ことが、達成目標です。ただこの目的を達成するためには、その地域の現状に応じた様々な対応と活動が必要です。
例えば、ボリビアでは、6歳位の子どもが鉱山労働者として働いているのです。私たちは環境保護団体とも協力して、家族を支えるために苛酷な労働を強いられている10代以下の子どもたちが病気になるのを防ぐために、貧しい家族への支援体制を作ることも行っています。
- 佐々木
でも、そこまで深く関わり始めると、「ここまでできたので、後は現地スタッフに任せていったん引き揚げよう」とすることはできにくいのではないですか。
- ダヴィッド
できません。しかし私たちの活動プログラムは期限付きですから、最初から常に地元スタッフと細かく連絡を取り合い、3年という期間が過ぎれば、後は地元スタッフにまかせて引き揚げるようにしています。
- 佐々木
そうなると、現地スタッフの教育も大きな仕事、ということですね。
- ダヴィッド
ええ。最初の1年でプログラムの有効性を調べ、2年目に入ると、プログラムをさらに成熟させると同時に、現地スタッフを含めたパートナーとのチーム作りを始めます。そして3年目は、地元スタッフとパートナーだけでプログラムを実行させ、問題点を適時改善することに努めます。
こうした私たちのやり方では、成功する場合もあれば、当然失敗する場合も生まれてきます。しかし全てを私たちだけで抱え込んでしまうわけにはいかないので、最終的にはプロジェクトを地元のパートナーに移譲することが必要なんですね。
実際、私たちが始めたプロジェクトを、セルビア、パキスタン、タンザニアを含む多くの国々で、地元の団体が引き継ぎ、今でも継続して行ってくれています。
- 佐々木
現在、世界の医療団は約何カ国で活動しているのですか?
- ダヴィッド
90のプログラムを、50カ国で実施しています。
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