ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第76回 三富 正博さん

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株式会社バリュークリエイト パートナー 公認会計士、米国公認会計士
三富 正博さん
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人生は「ダメもと」
- 三富
そんな、チャレンジ精神なんて……。僕ね、「チャレンジ」って言葉、知らなかったもの(笑)、本当に。佐々木さんみたいに起業家じゃなかったから。僕は「ダメもと」って呼んでたんです。会計士を受けるのも「ダメもと」。アンダーセンに入るのも「ダメもと」。アメリカに行くのも「ダメもと」。日本に帰ってベンチャーに入るのも「ダメもと」。会社を始めるのも「ダメもと」。僕ね、「チャレンジ」って言葉を知ったのはね、この会社を始めてから。
- 佐々木
え? アメリカに9年もいたら、「チャレンジ」って言葉、いっぱい聞くでしょう?
- 三富
いや、アンダーセンって、「チャレンジ」って言葉を使わないんです。「顧客の期待を超え続ける(client first)」と「継続的改善(continuous improvement)」なの(笑)。
- 佐々木
ああ、そうか(笑)。面白いですね。
- 三富
面白い。で、もう一個、面白い話があってね。僕がアンダーセンを辞めるときにね、親に「日本に帰る」って言ったの。そうしたらね、親は大反対したわけ。僕は、わけが分からない。「なんで?」って言ったらね、「あんな良い会社、辞める馬鹿がどこにいるんだ?」って言うわけ。僕は内心「パン屋に勤めたと思ってたくせに…(笑)」。
- 佐々木
それは、「優良企業のサラリーマン」をやめてほしくなかったっていうことですね、今度は。
- 三富
そう。僕は「自分の人生を自分の責任で自由に歩んでいる」って感じで人生を謳歌してたんだけど、親からしたら、外資系に勤めるエリートサラリーマンだったわけですよ(笑)。だからサラリーマンやってる息子がね、サラリーマンやめるっていうんで、あたふたしちゃったの。
- 佐々木
だけど、36、7歳ですよね? それでもやっぱり心配だったんだ、息子のことが。
- 三富
そう、心配だったんですね。それで無視して帰ってきちゃってベンチャーに入ったんだけど、ベンチャーがうまくいかなくなっちゃったでしょ? だから、親に黙って起業したんです(笑)。だって、親は心配するから。そしたらそのうちアンダーセンが潰れちゃったの、エンロン事件で(笑)。そうしたら親が今度ね、「お前はすごい!」と。「よく辞めて日本に帰ってきた」って。で、そのとき初めて「起業した」って言ったら、「ああ、そんなの、全然かまわないから」って。この辺までくると親もかわいく見えてくるもんですね(笑)。
- 佐々木
(笑)ベストタイミングでニュースを伝えたということですね?
- 三富
そうそう。だからまあ、人生、いい加減なもんなんです、実は。
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