<2ページ目からの続き> ……計算する対象の会社の株価が半額になったのですから、合計金額も減り、つられて平均株価も下がってしまうことになるからです。 でも、会社の業績に変化があったわけではありませんね。その会社の都合で下がっただけです。ある個別の会社が、自社の都合で株を分割したところ、平均株価が下がってしまったのでは、意味のある平均数字にはなりません。 では、どうするか。平均を出す計算で「割られる数」が小さくなったのですから、その分、「割る数」(除数という)も小さくしてしまえばいいのです。たとえば、225社の株価の合計が下がったら、それに見合う数だけ除数も小さくし、平均の数字が前と変わらないように修正すればいいのです。こうして、数字の連動性を保ちます。 たとえば、225社の株の合計金額が22万5000円だったとしましょう。これを225で割れば、平均株価は1000円。ところが、ある会社が株の分割をして、株価が半額になった結果、合計金額が22万円に下がったとしましょう。その場合、平均株価をこれまで通り1000円にするには、割る数を220に減らしてしまえばいいのです。 計算対象になっている会社が株を分割するたびに、割る数(除数)を小さくしていきます。 さらに、対象の225社は、日本経済を代表する会社ばかり。会社が倒産したり新しい企業が成長してきたりしたら、日経新聞社は、計算対象の会社を入れ替えます。この入れ替えに伴っても、除数を変化させます。この場合は、除数が上がることもあれば下がることもあります。 こうしたことを繰り返してきた結果、2005年11月には、除数が約24になっています。かつては225だった除数が、約24にも下がってしまったのです。 ここからは、分数の問題。割る数が小さくなれば、……
池上彰の 『解決!ニュースのギモン』