<2ページ目からの続き> ……国が補助するのです。お金を出す人は口も出しますね。国は補助金を出すにあたって、さまざまな条件を出します。このため、地方としては、創意工夫する余地がないという不満があります。 その一方で地方は、「国がお金を補助してくれるんだから、作らなければ損だ」とばかりに、いろいろな施設を作ってしまいます。「市民会館」や「音楽ホール」など各種の建物を建設するものですから、このやり方は、よく「ハコもの行政」だと批判されます。「音楽ホール」などの「ハコ」ばかりを建てるという批判です。地方に行くと、びっくりするほど豪華なコンサートホールがたくさんあります。交響楽団のコンサートにはピッタリの施設なのですが、そんなコンサートは滅多にありませんから、ふだんは地元の人たちのカラオケ大会にしか使われていなかったり……。 補助金制度はムダを生みやすい 建設するときは国の補助がありますから、建設費は安くてすむのですが、できてしまえば、維持管理は地元の責任。豪華な施設ほど管理費がかかり、自治体の財政状態は悪化します。「いっそのこと、取り壊してしまったほうが安くつく」などというぼやきも聞こえます。 つまり、国の補助金制度は、大変ムダを生みやすいのです。そこで、国の補助金を大幅に削減してしまおうというのが、「三位一体の改革」のひとつです。国から地方への補助金を4兆円減らそうというわけです。 その代わり、国の税源を地方に移すことになります。具体的には、国が集める所得税の税率を低くし、地方が集める住民税の税率を高くします。こうすれば、国に遠慮することなく地方独自の自由な仕事ができるようになり、地方分権が進むという考え方です。 ただ、これによって地方に移される税源は3兆円分に過ぎません。国は4兆円減らすけど、地方に移るのは3兆円。差し引き1兆円はどうなるの? という疑問が出ますね。 この分は、地方がムダを削ることでなんとかしなさい、ということになります。これまでは、「国が補助金を出してくれるから、これも建てよう、あれも建てよう」となっていたのが、……
池上彰の 『解決!ニュースのギモン』