「身につく英語学習法」とは?(2003年6月26日)
出張勝也(でばり・かつや)
株式会社オデッセイ コミュニケーションズ代表取締役社長
5月21日号の『ニューズウィーク日本版』に、「英会話の科学(最新研究が明かす英語学習のウソとホント)」という特集記事がでていました。ewomanの読者の中でも、読まれた方が多いかもしれません。僕もこの号の新聞広告が出た日、すぐに駅の売店で買って読みました。
今日また、この文章を書くために、再度読んでみました。
- 早く始めること
- 10年がかりの努力が必要
- 英語を話す国で一定期間生活すること
記事によると、これらが英語学習に関して、科学者たちの合意している点だそうです。
これを読むと、新聞や雑誌に溢れる英語教材の宣伝広告って、いったい本当なの?と聞きたくなってきます。だって、それらの広告を読んでいると、ほんの1、2週間で、簡単に「英語が自然に口から出てきた!」とか、「英語は勉強しては駄目だ!」なんて、勉強嫌い人間をますます甘やかしてくれるようなキャッチコピーの連続です。
僕の会社でも東京・丸の内で英語教室をやっているのですが、コミュニケーションに使える英語力を身につけるのは、「簡単じゃありませんよ」と正直に言っています。ただ、ちょっとばか正直に言っているためか、お客さんが「DIRECT ENGLISHは敷居が高い」という印象を受けているようです。そこで、社員には、「覚悟のないお客さんはお断り!」なんて、あまりにも素っ気ないことを言わないで、もっとサービス精神旺盛でやってください、とお願いしています。
このごろは、英語を年に1回程度しか使わない人も、検定試験で何点以上とらないと会社に残してやらない、リストラの対象だ、と言われるものだから、サラリーマンの方々は怖い思いをしながら、検定試験を受けています。強迫観念に追いやられているときに、「覚悟を持ってくださいね」と言われれば、拒絶反応になっても仕方ないし、それよりも「こっちの水は甘いよ!」と、色仕掛けでかわいい(あるいはかっこいい)外人に声を掛けられると、ちょっと心も揺れ動いてしまうのは、当然かな……。
さて、最初に紹介した『ニューズウィーク』の記事では、8つの英語学習法に関して、採点されています。英語の音を大量に聴く(B−)、eラーニング(B)、文法を学ぶ(B)、シャドウイング(B−)、本や新聞を読む(B+)、イマージョンプログラム(A)、英文を音読する(B)、暗示学習法(B−)というような具合です。
これらの学習法って、よく雑誌などで、英語教育の専門家と言われている人たちが、「これがおすすめ!」として、ありがたくもお言葉にされているやつですよね。でも、この『ニューズウィーク』の記事を読んでいると、どの方法もずば抜けていいというわけではないように見えます。
結局、ご自分のちょっとした経験や信念から、英語学習のグルー(guru)と化した民間療法の専門家の方々が、商売っ気満々で、手を変え品を変え、売り込みに励んでいるのが、英語学習法のように見えるのですが、これって、ちょっとうがった見方すぎるでしょうか? どれをやったとしても、少なくとも半年単位での覚悟がないと、英語は身につかないだろうし、逆にちゃんとやっていると、どの学習法にもそれぞれいいところはあるのでは。それよりも、上に挙げた学習法の中から、自分が気に入った学習法をうまく組み合わせながら、根気よく実行していくのが大切なのではないでしょうか?
おっと! 最後にきてあまりにも素っ気ない話になってしまいました。もっと気楽にいかないと、お客さんが逃げていきますかね?!