「変な人」サイトーさんの英語観(2003年7月24日)
出張勝也(でばり・かつや)
株式会社オデッセイ コミュニケーションズ代表取締役社長
平成5年から毎年全国の高額納税者リストのトップ10に入り続けている人がいます。斉藤一人さんです。斉藤さん自身が書いた『変な人の成功法則』のほか、斉藤さんのお弟子さんの書いた本も数冊出ています。
斉藤さんは、自称「カリスマ中卒」で、学校は中学校しか出ていません。「一人」という名前は、本名で、7人兄弟の7人目として生まれ、両親が「これで最後の一人にしてください」ということで、一人という名前になったそうです。斉藤さんの会社、株式会社銀座まるかんは、「スリムドカン」というユニークな名前の健康食品で知られています。
その斉藤さんが、お弟子さんたちや傘下の販売会社社員の前で行った「変な人の最初で最後の講演」というたいへんおもしろい講演が、CDで出ています。実は、今ほど斉藤さんが有名になる前に、僕も「斉藤一人熱」にかかりました。
斉藤さんの話は、「商売人」に向けたものですが、すべての人に参考になるお話ばかりです。お金、仕事、人間関係などについて、斉藤さんの考え方や経験を知ることができます。その中でも、斉藤さんの「天命」の話がとても好きです。
簡単に紹介すると、「天命」というのは、ほんのちょっとしたことから始めないといけない、たとえばいつも笑顔でいること、公園に藪蚊がたくさんでてきたので週末の草取りに参加すること。そんなお金にならないようなささいなことをばかにする人には、大きな「天命」はやってこないという話です。この「天命」に関する話を信じる人は一番少ない、とご本人が言っていますが、僕はこの話の内容とともに、斉藤さんの語り口がとても好きです。
さて、英語に関するコーナーですから、急いで英語の話に移ります。日本でも有数の金持ちになった「カリスマ中卒」の斉藤さんは、まったく英語ができないそうです。ご本人曰く、「生まれつき英語を勉強することになっている人は、英語を聞くとそれが心地よく聞こえてくる」のだそうです。学校では、英語ができないと大人になって困るぞ、と言われたけれど、「わたしはこれまで一度も英語で話しかけられたことなどありません」と言って、笑わせてくれます。
僕は、これからの日本人は、みんな、英語ができないとダメだというような議論には、どうしても賛成できません。企業の場合、英語はビジネスに必要だからできた方がいいということから始まったはずです。ところが、いつの間にか、英語を使うかどうかにかかわらず、みんな英語ができないとダメだというような「グローバル経営論」を唱える人がでてきています。
自分の仕事において、本当に英語が必要なのかどうか、それぞれの持ち場で判断すればいい話です。そして、本当に英語が必要ならば、一歩一歩進んでいけば英語が好きになり、いつの間にか、英語でコミュニケーションがとれるようになっていきます。斉藤さんの「天命」ではありませんが、英語修得においても、小さなことの積み重ねの結果、大きなことが達成できるのではないかと思います。そして、仕事で英語を使わない人は、英語ができないことなんか気にしないで、自分の得意分野を極めていけばいいのではないでしょうか?