大好きなあの曲をギターで弾けたらいいのに。子どものころ習っていたピアノをもう一度思い出したい。カラオケで歌うだけじゃ物足りない……。そんな思いに突き動かされて、多くの方が、さまざまな楽器を習ったり、コーラスの練習をされているようです。
今回は、20代、30代の女性に人気があるという「ゴスペルコーラス」のレッスンの取材に行って来ました。
取材協力:ヤマハ大人の音楽教室
高級輸入ブランドショップが華を競う銀座通りに、レッスン教室があります。
ここで最近人気のコース、「ゴスペルコーラス」を取材させていただきました。ゴスペルは、アメリカの黒人をはじめとする大衆に愛されてきた賛美歌。このコースでは、あらゆるジャンルの音楽をゴスペル風にアレンジして歌い上げていくそうです。
時は、火曜日午後6時25分。ネクタイ姿の男性やスーツやジーンズの女性たちが、続々と教室に駆け込んで来ます。ピアノの前で笑顔で迎えるのは、講師の淡野保昌先生。生徒さんたちは、ベース、テナー、アルト、ソプラノと4つのパートに分かれて着席。楽し気に会話を交わしています。和気あいあいとした雰囲気です。
午後6時30分ちょうどにレッスンが始まり、最初は伸びをしたり首を回したりの全身ストレッチ。続いて、発声練習。淡野先生のピアノと教室中に響きわたる声に導かれて、「ウォウ、ウォウ」「イー、エー、アー」「クー、クー、クー」など、さまざまな発音で声を出します。次第に集中が高まって、たっぷり15分間。ウオームアップは完璧です。
このクラスはフルメンバーで35名。今日は男性3名、女性20名ほどが出席されています。年齢層は、20代後半から30代が中心。レッスンが始まっても、息を切らせて入室する人が次々と。
「さあ、今日はまず『Wash Me』からいくよー」と淡野先生。すかさず、生徒のみなさんが教本を開きます。リズムに合わせて英語の歌詞を読み合わせてから、ベース、テナー、アルト、ソプラノのパート別に1コーラスずつ練習。時々、先生からジョークを交えた注意がとび、高いテンションをキープしています。
一通りパート練習が終わると、いよいよ全員のコーラスです。クラップしながらステップを踏んで、みんなノリノリ。大きく口を開けて歌う表情は明るく、楽しくてたまらない様子。おなかの底から歌うにつれて、何かが解放されていくようにも見えます。空間を支配する濃密な声のハーモニーと体に響くリズムは臨場感を与え、見学しているだけでも快感です。
1曲目が終わったらすぐ次へと、合計3曲。いずれも、歌詞は比較的シンプルな英語の繰り返しですが、メロディーやリズムはそれぞれに個性的。しかも4つのパートに分かれているので複雑そうです。でも、先生のユーモア溢れるハイテンションの指導と、生徒のみなさんの集中力で、息もぴったり。見事に歌い上げた1時間でした。