ホーム> career & management > 国境を越えた足跡> 第5回 特別編「30'sを考える」


第5回 '30を考える
4/8 
仕事を忘れて得られる新たな視点 |
進藤 |
ミキさんの近頃の関心事は?(笑) |
ミキ |
30歳って実感がなかったんですけど、徐々に徐々に、考え方が変わってきた気がする。周りが結婚や出産となってきて、けっこう迷うことがある時期だなと。自分はそんなに迷わないかなと思っていたら、今になってだんだん迷っている。2、3年前なら悩むことがなかったことに、今は悩むようになってきて……。 |
進藤 |
それは何でしょう。周囲の変化がきっかけなんでしょうか。 |
ミキ |
自分ですかね。仕事をずっとやってきて、先ほどの話ではないですけど、忙しいことを理由に何もやってなかった時期がずっと続いていたのですが、今は楽なんですね。「休みになった、何をしようか? やることがないや」という感じになっていて、他のことに目を向けてきていなかった自分にはたと気付いた。それで、30代っていうのは、女性にとっても節目の時期でもありますし、みなさんは、仕事とか家庭とかを持たれるときに、どういうふうにその折り合いをつけていくのかというのを聞きたいと思ってきました。
(misaeさんに)起業するときって、ものすごいパワーがいると思うんですよ。そういうときに、結婚の予定がくるわけじゃないですか。そのとき、その力具合を、私だったら向けられない気がしてきて……。 |
進藤 |
どう配分するかということですか?
|
ミキ |
そう。私はすごく不器用だな、と思うんですけど。ひとつの仕事だとそれにかかりきりで、他を見られなくなるんですよね。 |
進藤 |
職場は番組制作でしたよね。「他を見られなくなる」というのはきっと私もいっしょだ(笑)。なんか、わかるような気がします。お仕事に関わるうえでのこの先の理想形みたいなものというと。 |
ミキ |
それが思い描けないというのが最大の悩みです。自分がやっている仕事はすごく楽しいんですけど、持っている力をがっとつぎ込まないとできないな、と実感していて。いろいろなものを犠牲にしてきたような感覚があります。この先ずっと体力的にやっていける仕事だとは思っていないので。睡眠時間もろくにないまま1週間編集作業をしたり、ロケに行ったりしていると、家のことが全然できなくて、「掃除しなきゃ」「洗濯しなきゃ」とかとなるのは、なかなか辛いものがあります。 |
進藤 |
これまた先輩の女性ディレクターさんがおっしゃっていたことなんですが、ミキさんと同じように、「ふと立ち止まったときにとても虚しくなった」、と。ご結婚されているんですけど、会社を辞めることも考えたと。でもそんな時に、一年ほど現場から離れて過ごす機会に恵まれたんですって。その仕事場から離れた時間は、それまでの自分を客観的に見る絶好のチャンスだったし、違う角度から職場を見て、心機一転がんばる力がわいてきたっておっしゃるんですね。社会で仕事をする人たちには多かれ少なかれそういう時期があるのかもしれないですね。
|
史 |
私も仕事ばかりしてて、仕事しかなくて、でも倒れた時に、自分が無趣味だったことに気付いたんですよ。だから私も模索中なんです。今は独身なんですけど、フルタイムで働いて、結婚して子どもができると、夜まで働いたり、休日出勤したりとか、できないじゃないですか? でも仕事はずっと続けていきたいし、やりがいも見つけていきたいし、そのためには何があるだろうかということを探しているところなんです。
会社の中にそういう先輩がいない、そもそも女性が少なくて、同じ悩みを持っている人がいない。でも男性でもいいから、仕事の話だけじゃなく、そういうプライベートなこともいいのかな、一歩踏み込んだ人間付き合いをやってもいいのかな、と。だからたまたまセミナーで会った人とかも、興味がある人には連絡をとるとか……。そういうことも必要かなと思うようになりました。キャリアのため以外でも、自分の中身を厚くするためにも。相手を深く知るっていうのも大事なのかなって。模索中です。 |
|
4/8 
|