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久米宏の挑戦状(2003年8月29日)
真実をねじ曲げられるほうが怖い
『ニュースステーション』はよく見ていたが、久米宏氏が好きかといえば、さほどでもなかった。下卑なコメントは嫌みだったし、関西人としては笑えないジョークもうんざりだった。しかし、自民党の批判や、大衆迎合が危険というのはどうかと思う。
実は、最も危険なのは、知識人や権力者が、客観性の名の下に、もっともらしいうそをつくことである。あのイラク戦争でも、米国のお先棒を担いで、「イラクは大量破壊兵器を隠し持っており、何百万人という人間があっという間に殺される」とテレビで煽った人間が大勢いた。米英と違って、日本ではそのことに対してほとんど糾弾されていないが、知識人と称する人間が、もっともらしいうそをついて大衆を欺こうとするよりは、「戦争は嫌だ」という庶民感情を大切にするほうが、よほど健全ではないだろうか。
久米氏の大衆迎合は、わかりやすい分、すぐに見抜けるし、日本人もそれほどアホではない。それより、客観性を装いつつ、意図的に真実をねじ曲げてくるほうが、よほど怖いのである。(ワード)