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平田 オリザさん
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小さいサークルをたくさん復活していくしか、たぶん救いはないと思うんです
- 平田
だからといって、別に今、原っぱを作ったからといって、もう子どもが帰ってくるわけではないから、例えば大学でいえば、カフェを作ったりとか、演劇でも、音楽でも、美術でも、環境保護運動でも、ボランティアでもいいんだけど、そういうアートとか市民参加型の事業を通じて、様々なそういう地域社会を復活していく、小さいサークルをたくさん復活していくしか、たぶん救いはないと思うんです。魔法はないと思うんです。
- 佐々木
先日の高校生の母親殺害の事件に触れたとき、中学生の時はスポーツで優勝して、でも高校に進学後の1年か2年で、あんなに劇的に変わってしまうと思って、私は親として、どこまでどう育てていると安心なのか、とても恐怖に思ったんです。その話をしたときに、平田さんが、「重層性」っておっしゃったんですよね。
- 平田
他の場所がない。
- 佐々木
報道によると、中学までは、少なくともスポーツも含めていろんな道があって、高校でエリート校に行ってスポーツもやめて、急に、柱が一本になっちゃった。そしてそれがポキンと折れた、ということですか?
- 平田
あれは、本当にいろんな意味で象徴的な事件で。会津若松ですよね。あのぐらいのレベルの地方都市の子が一番息苦しくて。
要するに東京辺りだと、今、東大に行くのも、そんなに大変じゃないんですね、昔に比べると。だから、東京の受験校っていうのは、結構、変な授業もたくさんやっていて、例えば、うちは駒場なんで、筑波大附属駒場の先生と共同して、すごく変な授業をいろいろ出しているんです。ある年は、中学3年生に、夏休みに永山則夫の小説を3冊読ませて、後期全部かけて、永山則夫の評伝劇を作るっていう、これを国語の授業でやったんです。
- 佐々木
すごくいいですね。
- 平田
ちゃんと作るんですよ、中学3年生、14歳が。それは、筑波大附属駒場だからできるということもあるんですけど。
- 佐々木
今、言おうとしました(笑)。
- 平田
でも、そういう話を、この間も東大の先生としていたら、東大の先生も、「うん。本当に、例えば女子でも、御三家から来る子達っていうのは、結構遊んでから来るんだよね」って言っていて、この地域間格差が、今、すごく問題になっているんです。東大でも京大でも阪大でも問題になっている。
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