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Darcy Neillさん
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「面白いおばあちゃんになること」と答えたのです
- 佐々木
子どもの頃のお母さまからの教えで、印象に残っていることはありますか。
- ニール
「平和部隊に入りなさい。絶対にあなたの人生が変わるから」と背中を押してくれたのが母でした。
そして、常に「あなたは何でもできる」と言ってくれました。無条件で私をサポートしてくれた母に、心から感謝しています。そして、母は心底、私の可能性を信じてくれていました。
私は9人兄妹で一番上だったので、「お前で子育ての実践練習をしたのよ」と、いつも言っていました(笑)。それに、私が海外に暮らしていれば、旅行に行くところができるからね、と笑っていました。いまでも、姪や甥からまでも「こんどはこの国で仕事してよ。一度行ってみたい国だから!」と注文されるようにもなりました。これが私の家族への貢献ですね(笑)。
母は、常に私たちを応援してくれました。信じられますか。9人に同じようにですよ。今ではできないかもしれませんね。当時は、生活もシンプルな時代でしたから。ほんとうに並外れて素敵な母です。
- 佐々木
そういえば、ダーシーのビジョンは「面白いおばあちゃんになること」でしたよね。
- ニール
そうです。それは、変わりません。25年前から。でも、あるとき甥と話していたときのことです。彼は、両親が、看護婦と銀行家。仕事とはそういうものだと、彼は思っていましたから、私の仕事内容が理解できないといって、いろいろ話していたのです。そこで、ビジョンとは何かとか、そんな話もしていました。
そのとき、彼に、「じゃあ、おばさんのビジョンは何?」と聞かれたので「面白いおばあちゃんになること」と答えたのです。すると彼が、まじめな顔をして私を見つめ、「もう、なってるじゃない!」と(笑)。……ビジョンを語る相手は、慎重に選ばないとね(笑)。確かに私は年をとりました。だから、「面白い」という部分を持ち続けないとね。
- 佐々木
20年前にダーシーから、このビジョンを聞いて、私はびっくりしました。ビジョンとは、もっと、なんていうか、フォーマルな、大きなものなのかと思っていたら、「面白いおばあちゃんになること」というのですから。何をするのかではなく、どんな状態になりたいのか、ということが十分なビジョンになるんだと知った瞬間でした。何をするかというより、自分自身が、どうあるべきかということを追求していくことの大切さも、気づいた気がします。
- ニール
そうです。たとえば、「建築家になりたい」という人がいますが、その人だって、ただ、設計の図面を書きたいのではないでしょう。住む人のことを考え、どのような空間を創ったら心地よいだろう、どんなデザインにしたら心が休まるだろうと、考えていくことが仕事だと思うのです。空間をどう創るかによって、みんなが元気になるような場所に息を吹き込むこともできる。仕事って、そういうものだと思うのです。何をしているかではなく、そこで「こうもできる」「ああもできる」と工夫していく。
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