ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第107回 毛利 子来さん

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毛利 子来さん
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痛くもないのに「お腹が痛い」って言って
- 毛利
だから、子どもも、たぶんそうですよ。うちも、ここへ来ると、大抵の子どもはバタバタ走り回りだすんですよ。ここをグルグル回るんですよね。置いてある乗り物に乗ったり、刀やらピストルやら振り回してね、走り回るんですよ。
「何だ、元気じゃないか」って言うと、「いえ、先ほどまで、うちではグジュグジュ寝込んでたのに」って。もう、元気になっちゃうんですね。ここの方が面白いからと、来たがって……。
- 佐々木
病気のふりをするんだ(笑)。仮病。この病院に来たいんですね。
- 毛利
痛くもないのに「お腹が痛い」って言って、今度は、帰る時に泣くんです。
- 佐々木
病院の待合室で「大丈夫よ、怖くないわよ」って逆暗示にかけてるお母さんとは逆の現象ですね(笑)。
- 毛利
お聞きしたいんですけどね、ワーキングウーマンの方達も、きっと、職場の居心地というか、人間関係とか、上司との関係とか、雰囲気がやっぱり大切でしょう。そうしたことが良ければ楽しいじゃないかな。仕事は、多少は苦しいとか大変だったりするんでしょうが。僕だって医者をしていて、面倒くさいなと思う事はあるわけだけど、基本的に「苦楽しいっていうんですか、そういう状態が一番じゃないでしょうかね。
- 佐々木
その通りですね。やっぱり楽しいと思える人が上手くいくんですね。だからすごく僭越というか生意気な言い方をすれば、私は子どもが生まれた時に、多くの人に「子育てと仕事の両立」って聞かれたんですが、私は本に、「それは禁句だ。男性が作った陰謀だ」と書いたんですね。
- 毛利
その通り! 陰謀です。
- 佐々木
「子育てと仕事はどうやって両立しているんですか?」って100回聞かれたら、「両立していない」という不安に陥るんですね。私のような楽観主義者は何とか前に歩んできましたが、女の人ばっかり、聞かれるでしょう。だからいつの日か、全日本女性が、ワーキングファーザーに1年間同じ質問を聞く、なんてことしたら、男の人も不安になるのではないか、なんて本には書いたんです(笑)。それで、私は、両立という考えを捨てて、自分の中でタイムマネジメントという考え方で捕らえています。それに子育ては1日単位で考えないで、1週間、1ヶ月、1年、など。
- 毛利
そうです。そうです。
- 佐々木
子どもが生まれた時に、アメリカの「ワーキングマザー」という雑誌の編集長に以前聞いた話を思い出したんですけど、彼女は、子どもが生まれてから仕事に戻る時に、「こんなに可愛い子どもを置いて仕事をするんだから、自分じゃなければできない、いい仕事をしよう」と思って仕事をして、ライターから編集長にまで昇りつめたんですね。
やっぱりいい仕事をして、社会とのつながりを持つことで、自分自身がいいお母さんになるとか、いい人格になることが、私にとっては子育ての一番大切なことなのかな、って。
- 毛利
そうそう。そうすると気分がいいからさ、気分的に幸せ感、あるいは、達成感というのがあると、子どもにも寛容になるし、優しくあたれますね。
10/29
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