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古川享さん
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「あっ、ビル・ゲイツだ」って
- 佐々木
ビル・ゲイツと初めに出会ったのは?
- 古川
初めてはね、1978年のウエストコースト・コンピュータ・フェアの第2回がね、サンノゼのコンベンション・センターで徘徊しているのを見たね。
- 佐々木
徘徊?
- 古川
「あっ、ビル・ゲイツだ」って。名前は知っていました。僕が24か25歳ぐらい。人的関係は西和彦さんがつくったんですね。西さんがやっぱり、ある意味で偉大な人で、ビル・ゲイツとやっぱり、心でつながっているという人だったかな。個人としての、心の底から感じる友人として、あの2人はDNAがかぶっているって感じ。
僕自身はもう少し冷静に、ビルも僕のことをビジネスパートナーとして考えているだろうし。それから、何か面白いネタ、技術ネタとか、今こんなのが流行ってるのよって。オタク、geek、nerdっていう言葉は、そのころはなかったから、そういうものをいつも見つけてきて。今こんなことがあるよ、これからはこれ面白いよ、テクノロジーとしてはこうだよって、いつも話を持ちかけてくるような相手と見ているんじゃないかな。
だからあんまり、個人的にベタついた関係じゃないですよ。信仰者というところまでとは、ちょっと違う。
確かにすごいスマートな人間だから、話をしていて面白いし、自分のスピード感かなんかに絶対についてきて、なんか畳み掛けてくるというスピード感はね、ものすごいものがありますよね。でも勘違いして怒り出すと、取りつく島なしって感じでね。そうすると、「お前はそんなことも気がつかないのか、バカ!」っていうときの「バカ」の言い方がね。
- 佐々木
英語で何て言うんですか、具体的に?
- 古川
Fから始まるお言葉で……。もう、「お前の母ちゃんデベソ」どころじゃなくてね、本当にね、「お前がここに存在していて生きていること自体が社会の無駄だ」とかね、「こんなバカに給料を払ってきた俺は本当に情けない」とかね。「もう会社を辞めて、とにかく他の仕事を探した方がいいんじゃないか」みたいな話をグァーと言うわけ。
ただ罵倒するだけじゃなくて、もう本当にね、全人格的に追い詰めて殺すみたいな感じですよ。でもね、そのまま跳ね返して感情の話になったときに、極めてロジカルに、「そうは言っているけど、お前の方が間違えているんだよ」ってことを証明しきった瞬間に、しめしめって話になるのね。
普通、日本人同士の会話でそれをやると、「俺はそんなことは認めん」とかね、「みんなの前で俺を侮辱するのか」とか、そういうふうになるじゃない? だけどね、ビル・ゲイツの場合は、フッと考えて、ある瞬間に「俺が間違えていたかも」って思うわけね。そうすると、みんなの前で、「俺が間違えていた、ごめん」とかって言うの。
- 佐々木
それで、コロって来ちゃう?
- 古川
ホロってくる。
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