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志村季世恵さん
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ディスカッションのない家庭
- 志村
わたしたちの若いころっていうのは、そういう環境だった場合、暴走族に入ったりとか……、ほら、荒れると不良になっていったりしたじゃないですか。
たとえば、反抗するというと、スカートの丈を長くするとか。でも、今の子って、反抗する力がないんですよね。今、あまり見ないでしょう、反抗する子。
- 佐々木
よく道にしゃがみ込んでいる子たちはどうですか?
- 志村
それも昔よりそんなに多くない。そういう子よりも、毎日ちゃんと学校にも行っていて、家でもいい子なのに、髪の毛をむしって抜いてしまう子とか、リストカットしている子とか、そういう子が増えてきているんです。
それで、そのお母さんは、子どもに「わたしリストカットしていて、とても苦しいから『癒しの森』にカウンセリングを受けに行きたい」と言われて初めて気付く、っていう人が多いんです。
- 佐々木
親はそういう状態になっていることを知らない、っていうことですか?
- 志村
全員ではないけれど、知らない人も多い。
- 佐々木
親が知らないって、どういうことなんでしょう。体をそういうふうに傷つけてるんだから、日々の生活でわかるんじゃないですか? お風呂に入る時とか、夏になって半そでを着るときとか。
- 志村
いえ。もう常に長そでの服を着ているからわからないんです。
見せないんですよね。もちろん見せている子もいるんですけど。親のほうもどうしていいのかわからないという感じで……。そのお母さん自身も、その子にまったく興味がなかったり、ある部分にはすごく興味があるけど全体的に無関心だったり。
子どもたちに聞くと、「自分が自分で何をしていいのかわからない」とか「自分自身のことも、誰のことも信じられない」って。「生きてるな」と思えるのは手首を切っている時なんだ、って言うんですよね。
彼女たちは内側にエネルギーをためているんだけれど、発散ができなくて、パンパンに張った風船みたいなものに傷つけて、中に詰まっているものを出しているという感じなんだと思うんです。
そういうふうに、相手がどう思っているのかを聞く前に、自分はこう思っているよと、子どもを追い込んでいく親が多くなってきたのかなと思う。ディスカッションするというのもなくて。そういう家庭が右肩上がりに増えてきているという気がします。
14/24
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