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米倉 誠一郎さん
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廃藩置県のススメ
- 米倉
僕、道州制って大事だと思うんですよ。日本ってカリフォルニア州と同じ大きさ。なのに、1都1道2府43県、47人の知事がいるわけです。もしカリフォルニア州に47人の知事がいたら、アホか!となるでしょう。
なぜこういうことが起きているかというと、今の県って、明治維新のサイズなんです。一日50キロ歩いていたとして東京・大阪間で10日間。つまり 240時間の距離観で分けられた地域なんだけど、今は2時間半で行ける。100分の1。そうすると府県のサイズって、おかしいんですよね。
- 佐々木
ああ、そうですよねえ。
- 米倉
たとえば5つぐらいのブロックができて、九州・四国が韓国と同じ。カナダが89兆だから関西圏と同じ。そうしたいくつかのブロックの区域内でコアをつくっていく。
どこでもいいんですけど、九州四国だったら、たとえば福岡を強くする。なぜかというと、東京があるから埼玉、神奈川などが食っていける。これを九州でやるっていうと、大分も鹿児島も、自分が自分がといってそれぞれが弱いコアにしちゃうから、本当の分散化が成立しないんですよね。
分権の意味が誤解されてる。分権というのは47都道府県の県庁所在地がみんな東京みたいになることじゃない。これはあり得ない。経済圏ができてくるとヒーローはきちっと生まれてくるんですよね。ところが今は、東京1つがヒーローだから、これもすごくよくない。
この間学生に「どこ出身だ?」と聞くと、「愛知県です」というから、「岐阜県と仲悪いのか? 一緒になれると思うか?」というと、「思いません」と。
そのあとの質問で、「今、ドイツの紙幣ってなんだ?」というと、「マルクです」。「ばーか、ユーロなんだよ」と。けっこう言葉では聞いていても実感してない学生が多いんです。「フランスとドイツは岐阜県と愛知県の仲の悪さじゃないんだぞ。それでもヨーロッパは、ひとつのマーケットをつくるっていうのに、どうして君たちみたいに若い19歳、20歳が、岐阜県と愛知県が一緒になれないと思っているんだ」ってね。その種のチャレンジ精神をすっかり忘れてしまっている。
- 佐々木
思い込み?
- 米倉
そう。だから、違うんだ、ビジョンだっていうんです。廃藩置県だってある種のビジョンだった。
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