ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第40回 枝廣淳子さん

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同時通訳者・環境ジャーナリスト・セルフマネジメントコーチ
枝廣淳子さん
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きっかけは『地球白書』とレスター・ブラウンさん
- 佐々木
そもそも、枝廣さんが“環境畑”に入られたのは、どんなきっかけがあったのでしょう? レスター・ブラウンさんとはいつ出会われたんですか?
- 枝廣
10年ちょっと前になるんですけど、93年に2年間のアメリカ生活から戻ってきて、94年からアテンドや逐次通訳を少しずつやるようになったんですね。駆け出しのときって仕事がないけど、やりたい気持ちはあって。時間があるし、ボランティアでもいいから通訳の場数を踏みたかったので、当時好きで読んでいた『地球白書』を出しているワールドウォッチ研究所に直接ハガキを出したんですね。「日本で通訳、翻訳の勉強をしていて、少しは実地もできるので、ボランティアでお手伝いできることがないか」って。もちろん駄目元で。ボランティアの押し売りですよね(笑)。で、そんなハガキを出したことも忘れた頃に「実は今度レスター・ブラウンが来日するのだけど、会議にはA級クラスの通訳がつくけれども、アテンドとかホテルへの往復を手伝う人がいないので、やってくれないか」って連絡がきたんです。それからですね。
- 佐々木
いい話ですね。
- 枝廣
そうですね。たまたま実ったから、今までつながっていますが、実らない無駄弾もたくさん撃ってるので(笑)。
- 佐々木
そもそも、枝廣さんが、「環境」に取り組み始めたきっかけは何だったんですか? 今思うと、すごく先見の明があったと思うんですが。
- 枝廣
そうですね、これだけ流行る前に勉強を始めたので、結果的には少しは有利だったかなと思います。環境をやってる人には、人生を変えるようなすごい経験をして、環境に目覚めたという人が多いのですが、わたしは一切そういうことはないんです(笑)。以前から、人間、人間の心に関心があったので、心理学やカウンセリングも勉強したのですが、環境問題ってまさに人間の営みのなせる技だと思っているんですね。
オゾン層とか化学物質とかいうと難しい記号がいっぱい出てくるけど、そういう技術的な面じゃなくって、たとえば人間の短期的な思考しかできないところとか、世代を超えて思いやれないところとか、自分さえ良ければいいやという気持ちとか、そういうのが、今の環境問題を作り出してると思っているんです。
一方で、環境問題をなんとかしなきゃって、『地球白書』のレスター・ブラウン含め、そういう人たちは、等身大以上のもののために一生懸命やってるんですね。それは人間の美しい、すばらしいところが前面に出た活動で、同じ「環境」というフィールドで、人間の醜い面と美しい面が出て、互いにぶつかっているっていうのが、すごく面白いと思ったんですね。で、同じ自分の時間を使うんだったら、環境に使おう、と。
じゃあ、どうしてレスターかって言われると、たまたま読んでた本が『地球白書』だったからっていうだけで、違う人の本を読んでたら、違う人のところにハガキを送ってたと思うので、ご縁だったかな、と。
5/19
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