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同時通訳者・環境ジャーナリスト・セルフマネジメントコーチ
枝廣淳子さん
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サステナビリティ =「もったいない」
- 佐々木
この頃、“サステナビリティ(sustainability)”という言葉が出てきていますよね。「循環型」とか「継続可能な」とか言われていますが、枝廣さんは「サステナビリティとは思いをつなぐこと」と書かれていて、興味深く拝見しました。
- 枝廣
サステナビリティって日本語にしにくくて、実は英語や、ほかの言語にしても落ち着かない言葉なんです。日本語で言うなら「もったいない」でいいと思うんですね。
サステナビリティなんて言葉を聞いたこともないような年配の方が、使い終わった薬袋をもう一度、薬局に持っていってそこに薬を入れてもらっている。それは「循環型」などとは思わず、「もったいない」と思ってやってらっしゃる。
わたしたち現代人の多くは、この「もったいない」を忘れてしまったので、もう一度それを思い出すために「持続可能だ」とかなんとか言っていますけど、日本のすばらしい遺伝子のひとつには「もったいない」の心があります。それを思い出して形や行動にするだけでいいんですよ。そうしたら、食料品を買いすぎて冷蔵庫で腐らせることは「もったいない」からしなくなる。でも、腐らせておいて、それをゴミにしてはいけないから、堆肥にして循環させましたっていうのは、違う話です(笑)。家庭だけじゃなく、企業でもね、よくこういうのがあるんですよ。
今はもう死語なのかもしれませんが、「お古」とか「おさがり」は家庭の中の小さな循環ですよね。循環サイクルが小さければ小さいほど、移動するための輸送エネルギーもいらない。隣の家や親戚にお古をあげるとき、渡してたのは洋服だけじゃなかったと思うんですね。もらった洋服にツギがあたってたら、それはものを大切にしていく気持ちという、すごく大きなメッセージだったと思うんですね。古臭いとかケチ臭い、じゃなくてカッコいいし、まだ使えるのに捨てるのは、腑に落ちる生き方じゃないよねって。
- 佐々木
以前、「もったいない」は英語にはないから訳しにくいと思っていましたが、今、逆輸入の”sustainable”が、なんだか新しい言葉のように思うけど、実は「もったいない」の英語版かもしれないってことですね。
- 枝廣
そうなんです。英語だとよく”sustainable society”とか言いますが、日本人は「循環型」という言葉を使うんですね。日本には、輪廻だとか、循環思想があるんですね、きっと。
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