ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第42回 江端貴子さん

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江端貴子さん
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経営を勉強しなくては
- 江端
いろんな銀行のシステム開発を行っていたのですが、結局、仕事内容が似ているんですね。それで、求めていたものと違うという感じを持つようになりました。大手都銀と信用金庫の場合、当然ニーズが違うはずなのに、求められるスペックは似たようなものだったのです。
それで、「これで本当に銀行やその顧客のニーズにあっているのだろうか?」という疑問を持つようになりました。その答えを見つけようとしたのですが、当時の私には知識も経験もなかったので、どうすればいいのかよくわからないという状態でした。
同時に、当時は工場勤務でしたから、時には工場で徹夜しながら家と工場を往復するという勤務をしていました。20代後半になると同じ年代の人たちが商社や銀行でビジネスの第一線に立って頑張るようになりますから、あまりにも「自分が知っている社会や世間は狭いなあ」と感じるようになったのです。
そして、同じシステム開発でも、使う顧客の経営状態を理解したうえで作りたいと考えるようになり、経営を勉強しなければならないと、突然思ってしまったのです。
- 佐々木
そこで、いきなり経営を、と考えたんですか!
- 江端
私はずっと理系でしたから、当然、経済などは学んだことはありませんでした。また、自分たちの作っているシステムに為替変動が与える影響なども、よく理解していませんでした。
どうしたらいいのかと考えていた時に、当時はいろんな企業がMBAコースに社員を派遣していたので、「あ、これだ!」と思いました。
当時は日本にはビジネススクールはほとんどなかったので、行くとしたらアメリカのスクールという流れだったのですが、体系的にきちんと勉強したほうがいいだろうと考え、ビジネススクールに行くことを決意しました。
- 佐々木
私も、20代の後半、アメリカのビジネススクールに行くことを考えましたが、結局行動を起こさなかった。決意から行動までも、若いときは時間がかかることもありますよね。
- 江端
そう。思ったのはいいのですが、私はビジネススクールなんて簡単に入れると思っていたのですね(笑)。まず秋ごろに、ビジネススクールに行くことを思いつき、「アメリカの学校は秋スタートだから、あと1年ある」と思ったのです。
来年行きたいということでMBAの予備校に行くと、「来年行くためには、エッセイの締め切りまでにほとんど時間がありませんよ」と言われてしまいました(笑)。「日本の大学は4月始まりで、入試は2月でしょ?」と言ってしまったんですよ。
- 佐々木
本当だ、確かにそうですね。
- 江端
5〜6月に選考があって9月から行けると思っていたので、まずここで出鼻をくじかれてしまいました。
もうひとつは、大学院だし文系だから、授業料も100万円程度だと思っていたら、年間で2万ドル弱かかると言われたんです。1ドル180円くらいの時代ですよ! 2年間で生活費も入れて1,000万円かかると言われ、「えーーっ!」となってしまいました(笑)。「そんなお金、どこにもないよ! どうしよう」と思いました。
- 佐々木
それでもあきらめなかった。
- 江端
ちょうどそのころ、富士通が初めて社員をビジネススクールに送り込んでいたので、それを使って行くか、奨学金に応募するしかないと考えました。
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