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古荘純一さん
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「むかつく」「つまらない」という言葉に置き換えられている
- 佐々木
そうすると今日、最初にうかがった子どもの持つ3つの不安ですが、結局、成人になりきれない今の大人たちが、みんな同じ3つの不安を持っている、というそんな気がしてきます。
- 古荘
それは、認識していないかもしれないけれど、多かれ少なかれ持っている。そしてその不安というのが、やはり昔と比べて非常に大きいのに、自分でも何が原因なのかがよくわからない。
それが「むかつく」「つまらない」という言葉や行動に置き換えられているのかもしれません。ひょっとしたら、子どもたちは既にそれに気づき始めたということじゃないでしょうか。言葉にはうまく表現できていないけれど。
- 佐々木
そういった子どもたちに、どう対応したらいいのかな、と思ってしまうんです。愛情をもって育てているつもりだけれども、悪いときには駄目よと言わなくてはならないと思うわけです。声を大きくしてお尻をたたいたりするのは、いけないのかな、と思ったりします。
- 古荘
これはマニュアルがあるわけではないですね。マニュアルどおりで育児ができるわけではないし。昔だと、おじいちゃんおばあちゃんだとか地域の人がいて、母親が「私これでギブアップ」と言いそうなときに、まあまあちょっとおばあちゃんのところに来てごらん、と子どもがおばあちゃんだとか近所のおばさんのところに行ったけど、やっぱりママのほうがいいっていうことで、ほとぼりが冷めて戻ってくる、っていう面があったんですね。
でも今はずーっと、一人で見なきゃいけない、っていうことですよね。先日のイー・ウーマンサーベイで学力低下を取り上げたときに書いたんですけれど、普段から子どもの努力をほめることが大切なんです。アメリカなどに行くと、気持ち悪いくらいほめますよね。そうすると、時々叱ったときに、叱られることの重要性がわかって、キラリと光り効果を発揮する。
ですから、たとえばわれわれが、子どものほめ方が足りないんじゃないかなと考えていただく、私ができるアドバイスっていうのはそのぐらいですね。ですから、「大好きだよ」「よくがんばったね」だとかって言葉で言うのは、子どもにとって本当に大切なんです。
- 佐々木
いや私なんかもう、100回くらい言ってますよ、毎日。
- 古荘
それはすばらしいお母さまですね。
- 佐々木
それなのにどうしてこんな風になるの!と思うことしきり(笑)。
- 古荘
ですから子どもの、傷つきやすさとかっていうことからすると、まだ足りないのかもしれないですね。
- 佐々木
足りないんでしょうねえ。
- 古荘
でもそうすると、世のお母さま方の不安とストレスが増えてしまいますからね。だからと言ってお父さんを引っぱり出してきて、お父さんも育児を、って言うんですけれど、育児で必要なのは量的な分担じゃなくって質的な分担なんですよね。
場違いなところで、夜寝ている子どもを起こしてスリスリしても、逆に子どもは迷惑ですしね(笑)。子どもにとってこの人はまったく分かっていないっていうことですよね。質的な分担としては、父親は、子どもが逆境の時、子どもを守ることが重要だと思います。
10/21
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